現地の動き - Pick Up

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    264. 高解析度のアフリカ土壌マップ

    アフリカの多くの国々において、農業生産性の改善には、土壌肥沃度の十分な理解とその土壌情報に基づいた肥培管理技術の確立が必要です。近年、アフリカの土壌肥沃度調査の多量なデータのとりまとめを通じ、土壌肥沃度のデジタル地図の作成が進んでおります。今回、Scientific Reports誌で発表された30m解析度の新たな土壌マップには、国際農研・CGIARとともに共同研究を行っているチームの研究者らも貢献しました。

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    263. NASA、人類による活動が地球のエネルギー収支を改変しているエビデンスを確認

    国際社会は、産業化以来の気温上昇をできる限り1.5℃以下に抑えるために、温室効果ガスの排出を抑制するための行動を起こすことが求められています。そのためには、人類による経済活動に伴う温室効果ガスが気候変動にどのような影響を及ぼしているのかをモニタリングする必要があります。2021年3月、NASAは、人類による活動が、太陽光からのエネルギーが宇宙空間に放出されているのを妨げており、地球のエネルギー収支(energy budget)を改変していることを確認したと発表しました。

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    262. 災害の農業・食料安全保障へのインパクト

    災害が農業に及ぼす最大かつ直接の影響は作物・畜産生産量の減少であり、農民への経済ロスにとどまらず、バリューチェーンを通じ、その影響はセクター・経済全体に及びます。2021年3月、国連食糧農業機関(FAO)は、災害の農業・食料安全保障にもたらすインパクトをとりまとめた報告書を公表、自然災害の頻度と強度が増している状況がニューノーマル化している事態に警鐘を鳴らしました。

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    261.スーパー作物キヌア - 食料・栄養問題解決にインパクトを与えるキヌア研究

    国際農研では、栄養バランスに優れ、世界中でスーパーフードとして人気が高まっている南米アンデス原産のキヌアを用いた研究を行っています。キヌアは干ばつなどの過酷な環境でも栽培できることから、国際連合食糧農業機関(FAO)は、世界の食料・栄養問題解決の切り札になり得る作物として注目しています。

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    260. グローバル化社会における人類の活動と生物圏

    2021年3月22日、プラネタリー・バウンダリー概念の提唱者である Johan Rockström博士も共著者として参加した論文が公表され、新型コロナ・パンデミックや気候変動・生物多様性喪失といったシステムレベルでの攪乱が起きている現状を人為的な要因にもとめました。論文は、持続的でレジリエントなグローバル社会を構築する上で、経済活動の在り方を見直し、生物多様性を支える生物圏維持の重要性を訴えています。

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    259. 海面上昇による洪水リスク

    3月23日は世界気象デーであり、2021年は「持続可能な開発のための海洋科学の10年」の開始を記念して「海洋と私たちの気候・天気」をテーマとしています。 世界気象機関(WMO)によると、海洋は地球の表面の70%を占め、世界の気象と気候に大きな影響を及ぼしています。また、海洋は世界貿易流通経路の90%を占め、人類の40%が海岸から100㎞以内に居住することから、世界経済を支えています。しかし温暖化は、氷河溶解と水温上昇に伴う体積拡張による海面上昇をもたらすとされ、海岸地域の人々の生活を脅かしています。

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    258. 世界水の日

    3月22日は、「世界水の日(World Water Day)」です。1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミット(環境と開発に関する国際連合会議)で提案され、翌1993年に国連総会で定められた国際デーで、加盟国に対して、この日に各国で活動を企画するよう薦めています。農業は世界の取水量の70%以上を占めており、農業において淡水と雨水をより生産的かつ持続可能に利用することができなければ、SDGsは達成できません。

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    257. 国際森林デー(International Day of Forests)

    今週末の3月21日は国際森林デーです。国連はこれまでに1985年と2011年を「国際森林年」と定めて、世界的な森林の減少・劣化への対応や森林を持続可能な形での管理のために様々な活動をしてきました。2回目の国際森林年の翌年2012年には、毎年3月21日を世界で森林や樹木に対する意識を高める記念日として国際森林デーを定めました。2021年のテーマは「森林の回復:復元と幸福に向けて(Forest restoration: a path to recovery and well-being)」です。

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    256. 温暖化による熱帯地域での生存限界気温上昇

    近年の夏は激しい暑さに湿度も加わり、不快感が増しているように感じます。温度と湿度の双方を考慮し、人間の健康に影響を及ぼす指標として、湿球温度(wet-bulb temperature)という概念があります。人類にとっての生存の限界の暑さは湿球温度35°Cとされますが、とりわけ人口増が予測されている熱帯地域にとっての懸念問題です。

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    255. 地球温暖化によって四季の長さが変わる

    日本人にとり桜の開花などの植物の変化は四季を感じるバロメーターですが、気候変動は四季にどのような影響を及ぼすのでしょうか。1950年代には、北半球において毎年予測可能な範囲で四季が巡ってきました。しかし気候変動は季節の長さと開始日を大幅に狂わせるようになっています。Geophysical Research Letters誌で公表された論文は、気候変動対策が十分なされない場合、2100年までに北半球において夏が極端に長くなる一方冬が短くなる状態になりかねず、農業、人々の健康、環境に大きな影響を及ぼしうると警鐘を鳴らしました。

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    254. 栄養問題と栄養素についての紹介

    人間が生きていくために、また健康な生活を営むためには、必要な栄養素を外部から摂取する必要があり、それは殆どの場合食料を通して得られます。そして、食料を効率的に得るために人為的に生み出されたシステムこそが農業であり、農業の本質的な役割とは栄養を供給することであるとも言えます。農業と栄養とはリンクしているという前提を踏まえて、栄養問題と栄養素に関して簡単に紹介します。

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    253. 2020年のエネルギー関連CO2排出量

    2021年3月2日に公表された国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2020年の世界のエネルギー関連のCO2排出量は、5.8%(約20億トン)減少しており、これは第二次世界大戦以降で最大の年間減少率で、絶対量としては過去最大でした。一方で、その後排出量はCOVID-19パンデミック以前のレベルにまで戻っており、2020年12月のCO2排出量は前年同月と比べると2%の増加に転じました。

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    252. エチオピア高原における、ため池土砂を活用した農地造成技術の開発


    サブサハラアフリカの多くの地域では、農地の拡大と薪炭材確保のための森林伐採を契機に、土壌侵食を始めとする土地劣化が拡大し、農業や農村の生活環境にも大きな影響を与えています。また、増加する人口に対応する食料増産には土壌水分の保持が重要ですが、灌漑設備は十分ではなく、雨水の有効利用が求められています。国際農研は、エチオピア高原地域のプロジェクトサイトにて、現地の大学や地方政府と連携しながら、土砂流入の問題を抱えるため池の機能回復と土砂を活用した農地造成技術を開発しました。

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    251. COVID-19パンデミック宣言から1年

    2021年3月11日は東日本大震災から10年目、また世界保健機関(WHO)がCOVID-19をパンデミックと宣言した日から1年目にあたります。多くの人命が失われただけでなく、感染拡大を抑制するための移動規制措置は、我々の生活、仕事、移動、社会関係に地殻変動的なシフトをもたらしました。これらの変化は人為的な温室効果ガス排出を一時的に削減したものの、その中長期的な影響は限定的で、カーボンニュートラルに向けて各国はより野心的な気候変動緩和策を講ずる必要があります。

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    250. コロナと現場主義の国際共同研究

    新型コロナウイルス感染症により海外出張が難しい状況が続く中、国際農研は長年にわたる協力を通じて培われた信頼関係により、現地のパートナーに実験やデータ収集を委託したり、オンライン会議を通じて緊密な連携をとるなど、withコロナの国際協力体制を模索しています。マダガスカルの例をあげると、つくばの研究者と現地のチームは研究活動を継続するための連携体制を整え、コメの収量向上につながる技術の普及に必要なデータ収集を続けており、先日、その様子をマダガスカルの農業畜産水産大臣ご一行が視察されました。

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    249. 雑穀の日

    3月9日は、語呂合わせにより「雑穀の日」とされているそうです。雑穀は高い栄養価と農業生態環境への広い適応能力を持つことから、世界の食料安全保障と飢餓の解消に大きな役割を果たすことが期待されています。国際農研では、アジアにおけるソバ、アフリカのアマランサス、南米のキヌアなど、厳しい環境に順応し、機能性が高いものの、これまで安定した生産や利用のための十分な研究が行われてこなかった作物に注目し、現地のパートナーと国際共同研究を行っています。

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    248. 食品廃棄指標報告2021:食品廃棄は年間で40トントラック2300万台分

    国連環境計画(UNEP)は今月、報告書「食品廃棄指標報告2021(Food Waste Index Report 2021)」を発表しました。報告書によると、2019年に販売された食品のうち、9億3000万トン以上の食品がゴミ箱に捨てられ、これは家庭、レストラン、店で、消費者が利用できたであろう食品の17%(40トントラック約2300万台分、日本で一般に使用される10トントラック換算では約9300万台分)に相当します。その他に生産・加工・流通過程で失われた食品も合わせ、全体として食品の3分の1は消費されることなく失われました。

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    247. 低・中所得国における急激に変化する食の選択

    過去1世紀にわたり、世界のフードシステムは、人口動態や都市化、食料生産の増加、貿易や流通の拡大等に応じて、劇的な変化を遂げてきました。農業・栄養・健康分野の関係者にとって、今後数十年間にわたる最大の課題は、持続的で健康な食を実現していくための政策を策定していくことにあります。この上で、様々な場面において個人や世帯がいかに食に関する意思決定を行うかについての知識が必要となります。Global Food Security誌において、低・中所得国における急激に変化するフードシステムと食の選択を考察した論文が公表されました。

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    246.森林火災と気候変動の関連

    2021年2月、栃木と群馬における森林火災では数日間延焼が続き、近隣住民にも避難勧告が出されました。森林火災といえば、近年オーストラリア東部や米国カリフォルニアなどで頻発化し大きな被害をもたらしていますが、気候変動との関連が疑われています。npj Urban Sustainability誌にて発表された論文は、近年のオーストラリアの火事をフランシス・フォード・コッポラによる戦争映画をもじって「地獄の黙示録(Apocalypse now)」と評しました。

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    245. パリ協定に向けたコミットメントの進捗状況

    2021年2月、国連気候変動枠組条約は、2020年12月31日までに提出された75締結国のコミットメント(Nationally Determined Contributions – NDCs)をとりまとめた報告書(The NDC synthesis report)を公表しました。1.5℃ゴールを達成するには、2010年に比べ2030年の排出を45%削減する必要があるのに対し、現段階のNDCsでは1%の削減しか見込めないとします。報告書は、COP26前に公表される予定の最終報告書では、昨年末までのNDCs未提出国を含め、全ての締約国は2021年の間にNDCsを更新すべきとしています。