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403.アフリカにおける気候変動の影響

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403.アフリカにおける気候変動の影響

2021年10月19日、世界気象機関(WMO)は、2020年アフリカ気候白書(The State of the Climate in Africa 2020)を公表しました。以下、プレスリリースから概要を紹介します。

ときに洪水を伴う平年以上の降雨が、サヘル、大地溝帯、ナイル流域、北東アフリカ、カラハリ盆地、コンゴ川下流、で観察されました。対照的に、ギニア湾北岸、北西アフリカ、大陸南東部では乾燥状態が続き、マダガスカルでの干ばつは人道危機ももたらしました。とりわけ2020年は、紛争や政情不安、気候変動、バッタ大発生、経済危機に加え、コロナ感染症パンデミックが食料安全保障の危機をもたらしました。2020年、前年にくらべ、食料安全保障の危機に直面する人々の数が40%増加したと推計されています。

アフリカにおける気象・気候の変動は増し、経済・生態系・社会システムの攪乱をもたらしています。対応策がとられなければ、2030年までに、一日1.9ドル以下の生活を強いられる1.18憶人の極度貧困状況の人々が干ばつ・洪水・熱波にさらされると予測されています。サブサハラアフリカにおいて、気候変動は2050年までにGDPを3%下げかねず、適応のみならずレジリエンスにも課題をもたらします。

気候変動の影響でとくに象徴的なのが氷河の融解です。現在、アフリカにおいて、東アフリカのケニア山(ケニア)、ルウェンゾリ山脈(ウガンダ)、キリマンジャロ(タンザニア)のみが氷で覆われています。これらは水源というには小さすぎますが、非常に重要な観光資源となっています。これら氷河の後退率は世界平均よりも早く、このペースでいくと2040年代までに消滅しかねないとされています。

アフリカにとって、気候変動への適応技術を早急的に講じることは、コロナからの回復を支える経済開発・雇用創出の便益をもたらします。気候変動に実効性のあるパンデミックからの持続的でグリーンな回復を目指すことが重要です。

参考文献

WMO The State of the Climate in Africa 2020 https://library.wmo.int/index.php?lvl=notice_display&id=21973#.YW7Iaxlx… 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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