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391. 気候変動枠組条約締約国会議(COP26)への道

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391. 気候変動枠組条約締約国会議(COP26)への道

2021年10月31日から11月12日かけて、イギリス・グラスゴーにて、第26回気候変動枠組条約締約国会議(Conference of Parties: COP26)が開催されます。 この会議は、国際社会が産業革命以来の気温上昇を2℃以下、可能な限り1.5℃に抑えるために実行可能な温室効果ガス排出を純ゼロにする、脱炭素化のコミットメントを表明することで、気候の緊急事態を制御しうる最後のチャンスともみなされています。

最近よく話題になりますが、そもそもCOPとは何か、おさらいをしておきたいとおもいます。COPは、1992年のリオ地球サミットで提案され1994年に発効した気候変動に関する国際連合枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change:UNFCCC)の最高意思決定機関であり、発効翌年の1995年から毎年開催されています。 

1997年に京都で開催されたCOP3では、世界で初めて温室効果ガスの削減目標を定める「京都議定書」を採択しましたが、アメリカが離脱し、開発途上国とみなされた中国やインドに削減義務を課さないなどの課題がありました。  

2015年にフランスで開催されたCOP21では、京都議定書以来18年ぶりとなる「パリ協定」が採択、UNFCCCに加盟する全196か国全てが参加し、罰則規定はないものの2020年以降の地球温暖化対策を定めた史上初の枠組みとなりました。 トランプ政権のもとでアメリカが一時的に離脱したものの、バイデン政権の誕生により2021年1月にアメリカの復帰が表明されました。

パリ協定では、今世紀末までの世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して、2℃より充分低く、出来る限り1.5℃に抑制するため、今世紀半ばまでに人為的な温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「脱炭素化」を目指しています。 

パリ協定では、各国が決定する貢献(Nationally determined contributions :NDCs)にて排出削減目標を更新することになっており、日本は昨年2020年10月に2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言、さらに2021年4月22-23日に開催された米国主催気候サミットにおいて、野心的な目標として、2030年度において温室効果ガスの2013年度からの46%削減を目指すことを宣言しました。 

COP26に向けて多くの国が野心的な目標を掲げつつありますが、その達成には科学技術イノベーションの適用とモニタリングシステムの構築が欠かせません。また、気候変動対策は、地球規模での対応が必要となりますが、開発途上国の中にはキャパシティへの支援を必要とする国が多いのも事実です。開発途上国には、経済・雇用ともに農業への依存度が高い国々も多く、食料安全保障を満たしながら気候変動対策を実施していく上で、科学技術イノベーション活用能力の強化が必要とされています。

国際農研は、農林水産業分野での気候変動緩和・適応策の技術開発において、開発途上国のパートナーと共同研究を通じ、地球規模課題の解決に貢献しています。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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