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385. 国連食料システムサミット:人々、地球、そして繁栄のために

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385. 国連食料システムサミット:人々、地球、そして繁栄のために

9月23日、フードシステム変革についての国際的な議論を行う国連食料システムサミットが初めて開催されました。当初はニューヨークでの開催予定でしたがオンライン形式での開催に変更となりました。

本サミットの準備では、過去1年半にわたって、若者や先住民や農家や市民社会や民間セクターなど多様な関係者との対話を続け、その議論には148か国10万人以上が参加したとされています。「人々のサミット(People’s summit)」と銘打ち、各種議論やイベントの傍聴など、参加希望者は世界中から誰でも参加できる仕組みになっていました。国連のサミットがこれほどまでにオープンに開かれたのは初めてのことです。

今年7月には科学者グループ主催のサイエンス・デイプレサミットも開催されました。サミットを主導したグテーレス国連事務総長は「我々はパンデミックによって物理的に引き離されたが、このサミットの準備によって一つにまとまった」と述べました。本サミットは2日間の開催で、政府首脳などのリーダーによるコミットメントを表明するなど、一連のプロセスのクライマックスにあたります。日本からは菅首相が動画メッセージを寄せました。

グテーレス国連事務総長は、2030年までに17の持続可能な開発目標(SDGs)を達成するために行った公約を果たすよう政府とパートナーに呼びかけました。また、フードシステムに関わる家族経営の農家、遊牧民、労働者、先住民、女性、若者などに、お互いから学び刺激を受けつつ、SDGs達成に向けて協力していこうと述べました。そして、多国間で協調して、人々、地球、繁栄のためにフードシステムを導くことに貢献した本サミットを賞賛しました。

議長の行動概要声明では、SDGsを世界的に進展させ、基本的人権を確保する方法として5つの主要領域:1)栄養をすべての人に 2)自然をベースとした解決策 3)公正な生活、適正な仕事、コミュニティの強化 4)脆弱性、ショックやストレスへの強靭性 4)実現方法のサポート が挙げられています。

各国は、レジデントコーディネーター(RC)と国連カントリーチーム(UNCT)によって支援されます。世界レベルでは、国連食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、世界食糧計画(WFP)の国連機関が共同で調整を行います。事務総長は、国連の2030アジェンダに対する進捗状況をモニターし、ハイレベル政治フォーラムに年次報告書を提出します。このように、フードシステムに対する取り組みは今後も続いていきます。


参考文献

UN Food Systems Summit 2021 Statement. The Food Systems Summit- A New Deal for People, Planet and Prosperity. https://www.un.org/en/food-systems-summit/news/food-systems-summit-new-… Accessed on Sep 24.

UN Food Systems Summit 2021 Press release. Food systems hold power to ‘realise vision of a better world’, says UN Secretary-General at first Food Systems Summit. https://www.un.org/en/food-systems-summit/news/food-systems-hold-power-… Accessed on Sep 24.

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)

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