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1150. 生物多様性、気候、そして土地

1150. 生物多様性、気候、そして土地
生物多様性の喪失、気候変動、土地の劣化は、相互に絡み合った惑星レベルの課題です。2024年は 地球が直面する最も差し迫った問題に対処するための重要な国際会議:生物多様性、気候、土地に関する3つの国際会議が開催された、「COP(締約国会議)年」でした。10月の生物多様性COP@コロンビア、11月の気候変動COP@アゼルバイジャンに続き、最後の国連砂漠化対処条約(UNCCD)第16回締約国会議(COP16)が、2024年12月2日から13日までサウジアラビアのリヤドで開催されます。
これらの3つの会議での目標として、2030年までに、地球温暖化を産業革命前のレベルから1.5°Cに抑え、気候レジリエンスを高めるために温室効果ガス排出量を2019年比で少なくとも43%削減すると同時に、土地・水・海の30%を保全し、15億ヘクタールの劣化した土地を回復しなければなりません。そのためには、既存の社会経済の在り方を見直し、行動変容を引き起こし、イノベーションを適用していく必要があります。
その機会の一つが、農業食料システムの変革です。農業食料システムは、森林破壊、生物多様性の損失、水使用の最大の原因であり、世界の温室効果ガス排出量の3分の1を占めています。国際市場における商品作物に対する増え続ける需要を満たすために、広大な土地が開墾されています。
持続可能な土地と水の管理、再生型農業、近代的にバイオエコノミーを通じて食料システムを変革することは、一度に複数の目標を達成するための方法として提唱されています。例えば、点滴灌漑は農業で使用される水の最大50%を節約でき、アグロフォレストリーのような慣行は土壌の健全性を向上し、食料と水の安全保障と生物多様性の面で利益をもたらします。また、食料供給の将来性を確保するために、干ばつに強いレジリエントな作物へのシフトに期待が高まります。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)