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426. ショックやストレスに強靭なアグリフードシステムの構築を

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426. ショックやストレスに強靭なアグリフードシステムの構築を

COVID-19パンデミックによる経済危機、気候変動・極端現象、紛争、慢性的な飢餓や栄養失調などのショック・ストレス要因が、アグリフードシステムの安定性を脅かしています。今すぐに対策をとらなければ、アグリフードシステムは、全ての人々に健康な食生活をもたらす栄養ある食品への物理的・経済的アクセスを保証することができない事態に陥りかねません。

2021年11月23日、国連食糧農業機関は「世界食糧農業白書(SOFA)2021年版」を発表、ショックやストレスに強靭なアグリフードシステムの構築の必要性を訴えました。 

ショックは、アグリフードシステム・人々の厚生・資産・生業・将来のショックを耐える能力、等に対し、短期的に負の影響をもたらす事象と定義されます。食料・非食料農産物の生産・備蓄・加工・輸送・流通・消費にかかわる多岐にわたる活動を包括するアグリフードシステムは、毎年110憶トンの食料を生産し、直接・間接的に10憶人の人々の雇用を生み出しています。食料生産・供給チェーンは歴史的に気候極端現象や紛争、世界的な食料価格上昇などに脆弱ですが、これらショックの頻度と厳しさは年々増しています。さらに、主要な輸送網の寸断は食料価格急騰を通じて脆弱な社会層の人々に影響を及ぼします。

報告書は、100か国以上に及ぶ加盟国について、輸送ネットワーク、貿易フロー、健康で多様な食生活へのアクセス、等に配慮した指標を報告しています。低所得国は一般に多くの課題を抱える一方、中所得国もリスクにさらされていないわけではありません。例えば、ブラジルの輸出の60%が一つの貿易パートナー国に依存しており、ショックにさらされた際の選択肢を狭めています。オーストラリアやカナダのような高所得国でさえ、食料流通に必要な距離のためにリスクを抱えています。

報告書は、ショックを吸収するために、インプット調達源・生産・市場・サプライチェーンの多様化を推奨します。 アグリフードシステムにおける中小企業や協同組合の支援も国内バリューチェーンの多様性維持に貢献します。輸送・マーケティング・投入財・労働力の調達チャネルの寸断に対し、これらを修復し繋ぐことを可能にする能力も重要な役割を果たします。さらに、飢餓の撲滅には、資産アクセス向上や所得源多様化、社会保護プログラムなどを通じ、ショックに脆弱な世帯の強靭性を向上することも重要です。


野菜・果物は、食料栄養安全保障に重要な役割を果たしますが、傷みやすく食品ロスにつながりやすいことから、COVID-19パンデミックによるショックに大きく影響を受けた食品群です。12月6日のシンポジウムでは、野菜・果物の生産・流通上の課題についても議論されます。ぜひご視聴をご検討ください。

 

シンポジウム:野菜・果物―地球と人間の健康のための研究と行動の機会
プログラム:https://www.jircas.go.jp/ja/symposium/2021/e20211206 
開催日:2021年12月6日(月)
場所:オンライン(要・事前登録)
受付期間:2021年11月15日(月) 09:00 - 2021年12月6日(月) 15:00
申込受付:https://www.jircas.go.jp/ja/symposium/2021/e20211206/entry
申込締切:2021年12月6日(月) 15:00

問い合わせ先:国際農研 情報広報室
Email: event-jircas@ml.affrc.go.jp
URL: https://www.jircas.go.jp/ja/form/inquiry


参考文献
The State of Food and Agriculture (SOFA) report 2021, Making agri-food systems more resilient to shocks and stresses https://www.fao.org/3/cb4476en/online/cb4476en.html
 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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