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311. 世界で最も危険なバッタの行動予測のカギを解く

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2019年末から2020年前半にかけて、アラビア半島で大発生したサバクトビバッタが南アジアや東アフリカに侵入したことが、日本を含む世界中のメディアで報じられ、空を暗くする程の大群が飛翔する映像は、人々を震撼させました。
 
最近のバッタ発生の原因の一つとして、インド洋温暖化の影響によるサイクロンなどの異常気象の頻発化を指摘する科学者もいます。

他方、大発生した際の抜本的で効果的な防除法を確立するには、サバクトビバッタの生態の解明が重要です。より具体的には、発生を予測し長距離飛翔する成虫になる前の幼虫の間に防除するために、バッタの行動パターン、特に、どのように幼虫が体温調節し、移動、採餌、消化しているのかを理解し、幼虫の行動を予測することが必要となります。 

国際農研は、バッタの生息地である西アフリカのモーリタニアに広がるサハラ砂漠にて野外調査を行い、厳しい寒暖条件で過酷な環境と考えられる砂漠においてサバクトビバッタ群生相幼虫が生き延びるための行動を明らかにしてきましたが、その研究結果が、Ecological Applications誌に公表されました。 このたび、6月1日にオンライン発表された掲載号の印刷版において、背伸びをして体を熱い地表から離して体温をクールダウンする姿勢「背伸び行動」をとるサバクトビバッタの写真が表紙*に採用されました。 

国際農研の食料プログラムでは、サバクトビバッタなどの越境性病害虫の総合的防除方法の技術開発に取り組んでいます。


参考文献

Koutaro Ould Maeno et al. (2021) A general model of the thermal constraints on the world’s most destructive locust, Schistocerca gregaria. Ecological Applications, https://doi.org/10.1002/eap.2310

*This is the peer reviewed version of the following article: [COVER PHOTO: A general model of the thermal constraints on the world’s most destructive locust, Schistocerca gregaria], which has been published in final form at [https://doi.org/10.1002/eap.2167]. This article may be used for non-commercial purposes in accordance with Wiley Terms and Conditions for Use of Self-Archived Versions.

(文責:生産環境・畜産領域 前野浩太郎)

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