食料

新たな食料システムの構築を目指す生産性・持続性・頑強性向上技術の開発

世界の食料システムは人口増加や気候変動等の影響による問題を抱えています。新型コロナウイルスの世界的大流行(パンデミック)は、この食料システムの脆弱性を明らかにし、状況を悪化させました。パンデミックに限らず、現在起きている、あるいは将来発生する可能性のあるさまざまな問題に対処するため、食料システムのレジリエンスを強めることが不可欠です。

開発途上地域における食料システムのレジリエンスを強めるためには、多様化している食料システムに関わるニーズに対処する必要があります。「社会的ニーズ」として、量的・質的な栄養改善、食を通じた健康の実現があります。「経済的ニーズ」として、労力削減・生産性向上、地域資源の最大活用、あるいは気候変動などのリスクに強い農業があります。さらに「生物圏ニーズ」として、化学肥料・農薬の低減、生物多様性の保全・再生があります。そして、これらのニーズの解決には、ICT、IoT、バイオ等、先端技術の活用が期待されています。

このプログラムでは、このような多様な食料システムに関わるニーズに対応し、技術開発と活用を通じて、対象地域における安定的な食料生産、国際的な食料需給、食料栄養安全保障に貢献するため、「食料生産性の向上と栄養改善を達成する新たな食料システム」の構築を図ります。そのために、「作物・食品加工技術開発」、「環境調和型生産基盤の維持強化」、「アフリカ食料・栄養安全保障」に分類できる6つの「生産性・持続性・頑強性の向上にむけた技術開発プロジェクト」を推進します。

これら全てのプロジェクトは、おもに「持続可能な開発目標(SDGs)」の目標2「飢餓をゼロに」に貢献します。

 

関連する研究プロジェクト

研究成果情報

関連するJIRCASの動き

植田佳明主任研究員が2025年度日本農学進歩賞を受賞

2025年11月28日(金)、東京大学農学部弥生講堂において、公益財団法人農学会による2025年度(第24回)日本農学進歩賞授賞式および受賞者講演会が開催されました。国際農研(JIRCAS)の植田佳明 主任研究員(生産環境・畜産領域)が、「植物の栄養ストレス応答とその耐性メカニズムに関する研究」により本賞を受賞し、農学会の丹下健会長から賞状と記念品が授与されました。

アグリビジネス創出フェア2025に出展しました

令和7年11月26日(水)~11月28日(金)、東京ビッグサイト西3ホールで開催された「アグリビジネス創出フェア2025」(主催:農林水産省)に、国際農研の研究成果を出展しました。

プレスリリース

関連するイベント・シンポジウム

シンポジウム
開催日
(日本時間)
JIRCAS国際シンポジウム2024
地球沸騰化時代におけるレジリエント遺伝資源の機会と課題
受付期間:
- (日本時間)
場所
ハイブリッド(国連大学ウ・タント国際会議場およびオンライン)
(150-8925 東京都渋谷区神宮前 5-53-70) 国際連合大学UNU3階
イベント
開催日
(日本時間)
ボリビアシンポジウム〜ウユニ塩湖、キヌア、リャマの魅力〜
受付期間:
- (日本時間)
場所
ハイブリッド(JST東京本部別館1F大ホールおよびオンライン)
(102-0076 東京都千代田区五番町7)

現地の動き

  • Pick Up

    1392. 鉄を制するものはアフリカのイネを制す

    鉄は植物の必須元素ですが、東南アジアやアフリカの多くの地域では鉄が必要以上に供給されてしまい、植物、特にイネの生育に悪い影響を及ぼしています。この「鉄の過剰障害」メカニズムを解き明かし、そのような条件でもイネが健康に育つうえで重要なイネの遺伝子を発見するための研究について紹介します。

  • Pick Up

    1385.アフリカで訴えてみた「畑を休ませて農家を豊かに!」

    アフリカは世界で最も注目される成長市場のひとつとされる一方で、世界で一番多くの人が飢餓に苦しんでいる地域でもあります。飢餓の原因のひとつが「土壌の劣化」です。アフリカの土を守り、安定した食料生産や農家の収入向上、さらに飢餓や貧困の削減に役立てる「耕地内休閑システム」を農家に効果的に広めるための研究を紹介します。
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    1234. 連絡拠点だより⑦:タイの甘酒『カオマーク』

    日本では飲む点滴とも呼ばれ、美容効果もあるといわれている甘酒。実はタイにも『カオマーク』と呼ばれる甘酒があります。
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    1161. アフリカの“農家知識”を技術普及に活かす

    “知識”というと学校の授業で習ったりすることを連想しますが、そうした知識とは別に、農家が日々の経験の中で知る経験的知識を“農家知識”と呼びます。現在まで、持続的農業を可能にするとされるたくさんの技術がアフリカに普及されていますが、農家に使われない・使ってみてもすぐ止めてしまうという問題があります。その問題を解決する手段の一つとして考えられているのが、農家が日々の農作業の中で何を大切にし、何を困難に思っているのか、土や作物の特徴をどう理解しているのか、を私たち研究者が理解することです。
  • Pick Up

    1013. ボリビアシンポジウム〜ウユニ塩湖、キヌア、リャマの魅力〜

    国際農研と駐日ボリビア多民族国大使館は、2024年5月20日(月)に『ボリビア シンポジウム〜ウユニ塩湖、キヌア、リャマの魅力〜』を、科学技術振興機構(JST)東京本部別館で開催します。本シンポジウムは対面とZoomウェビナーを利用したオンライン視聴を併用して実施します。

出張報告書

論文

2025