現地の動き - Pick Up

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    470. 氷河の融解が生態系や農業基盤にもたらしうるインパクト

    南極・北極では氷河の融解が確実に進行しているようです。氷河の融解は大量の真水を放出し、その融解の程度に応じて、周囲の海洋の物理・生物学的条件に大きな影響をもたらします。世界種子貯蔵庫が設置されたノルウェーのスバルバル半島でも、近年異常な高温が記録されていますが、氷河の融解の加速化といった気候状況が貯蔵庫の維持に支障をきたすのであれば、作物多様性に基づく農業基盤そのものを脅かしかねません。
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    469. 農村における貧困を多次元で捉える指標

    世界の貧困層は農村地域に集中しており、都市と農村の貧困には共通の指標で捉えきれない質の違いがあります。2022年1月、国連食糧農業機関(FAO)とオックスフォード貧困・人間開発イニシアチブ(Oxford Poverty & Human Development Initiative: OPHI)は、共同で「農村多次元貧困指標The Rural Multidimensional Poverty Index」の概念フレームワークと指標を提案しました。
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    468. アジアにおける気候変動適応策 ― ベトナム稲作生産における適応策の経済評価

    アジアは気候変動のインパクトに最も脆弱な地域の一つです。東・東南アジアと日本で、適応策に関する教訓を学ぶ必要性があります。2022年1月に公表された茨城大学地球・地域環境共創機構(GLEC)が公表した書籍は、気候変動適応のための農業、災害マネジメント、資源管理に関する教訓をとりまとめました。国際農研も関わった一つの章は、ベトナムにおける適応策の経済評価を行い、農業システムの変容についても論じています。
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    467. 農業・食料に関するSDGs進捗

    フードシステムの安定性・持続性は、多くのSDGsの達成と関連しています。本日は、SDGsの食料および農業に関連する指標の進捗状況についてまとめたFAOの報告書「Tracking progress on food and agriculture-related SDG indicators 2021」を紹介します。
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    466. 2022年は生物多様性アジェンダ達成の運命を握る

    近年、生物多様性はまれにみるスピードで失われつつあります。1月19日Nature誌の論説は、これまで生物多様性保全が失敗してきた理由をガバナンスへの対応不足と指摘し、生物多様性ターゲットを実行に移すには、人々の組織行動や行政について理解する専門家が、生物学・環境保全専門家と手を組む必要性を強調しました。
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    465. トンガの水資源と災害の影響

    1月15日に火山噴火を経験したトンガは170余りの島と4つの諸島で構成された人口約10万人の島国です。トンガ国の離島は、極端気象等による水害に脆弱である一方、一部の島を除いて河川や湖沼は発達せず、水資源は基本的に天水に依存し、乾季や渇水期には、「淡水レンズ」を含む地下水が重要な水資源となります。小島嶼の水資源は、地球温暖化に伴う海面上昇によって塩水化が進むと予想されるとともに、取水量の増加や干ばつ等による涵養量の減少の影響を受けやすいことから、その保全のための技術開発が求められています。
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    464.大規模データベースを使って有用樹木の様々な生理的能力を明らかに

    スギとヒノキは造林樹種として重要で、日本の人工林の大部分占めています。またスギは日本の固有種とされていますが、インドや台湾など亜熱帯地域でも木材資源として利用されています。このたび国際誌PLOS ONEに公表された研究では過去70年間に発表された文献を集めた大規模データベースを用いてスギとヒノキの生理能力に関する様々な特性を比較しました。こうしたデータベースは人工林に対する気候変動影響の精緻な予測や、より気候変動に強い森林の管理方法の検討に役立ちます。熱帯樹木にとっても同様なデータベースが早急に必要とされています。
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    463. COVID-19 のインパクト

    COVID-19が世界に拡散し始めて2年目となりますが、そのインパクトは人類の健康被害だけでなく、経済危機・社会格差の拡大を通じて地球規模に様々な影響を及ぼしています。 Nature誌の論説は、実際にパンデミックで亡くなった人々の数は遥かに大きい可能性を指摘する研究に言及し、推計法の課題等を指摘しつつ、COVID-19の人的被害の規模を試みる専門家の努力を伝えています。
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    462. オイルパーム農園から産出される膨大な未利用バイオマスの価値化技術を通じた持続可能な産業創出

    国際農研は、「SATREPSパームトランクプロジェクト」のもと、(株)IHI、パナソニック(株)などと共同で、インドネシア、マレーシアなど主に東南アジアで生産されるパーム油の製造工程で大量に廃棄される古木(OPT)の価値化技術を通じ、環境負荷の低減と持続的な産業創出に向けた取り組みを進めています。このたび、国際農研の取り組みが令和4年1月11日の日刊工業新聞「成長につなぐ-事例17のゴールズ&169のターゲット」に掲載されました。
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    461. 先進国における食生活のシフトによる地球・人類の健康の改善

    2022年1月にNature Food誌で公表された論文は、高所得国において動物性食品から植物性食品への大胆なシフトを推進することで、気候変動や環境保全の目標を複数同時に達成することが可能であると指摘しました。他方、高所得国においても急激な食生活のシフトの実現は短期的に現実的でない、という場合、個々の消費者の意識を変え、少しずつ行動を起こすことも十分効果があるようです。
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    460. 2022年(第16回)若手外国人農林水産研究者表彰 (Japan Award)の募集開始

    農林水産省及び国際農研は、開発途上地域の農林水産業及び関連産業に関する研究開発に貢献する若手研究者の一層の意欲向上を図ることを目的とし、優れた功績又は将来の技術革新等につながる優れた研究業績を挙げた若手外国人研究者に対する表彰を2007年から実施しています。本年度は第16回目の募集となります。申請書類、申請方法の詳細は、国際農研Webサイトの募集要項をご確認ください。
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    459. フードシステム転換のターゲット設定

    昨年中のPick Upでも頻繁に取り上げてきましたが、世界食料栄養問題を取り扱う研究では、生産・消費・バリューチェーンを個別に取り扱うアプローチから、フードシステムの安全性・ネットワーク・複雑さそのものを取り上げるアプローチにシフトしています。2021年12月、Nature Food誌に公表された論考は、フードシステム転換においても、気候変動のパリ協定における「ネットゼロ」目標のような、システム変革のための共通ゴールや時間軸を設定することで政策転換を促す必要性を訴えました。
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    458. 2021年の気象記録

    2022年1月13日、アメリカ航空宇宙局(NASA)やアメリカ海洋大気庁(NOAA)などの米国の研究機関は、2021年が史上6番目に暑い年であり、海洋の表層に蓄積される熱量を測る海洋熱含量(Ocean heat content:OHC)は史上最高値を記録した、と発表しました。2021年はラニーニャ下では史上最高に暑い年であり、過去8年間は史上最も連続して暑い期間でした。
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    457. CGIARの50年史から展望するグローバルフードシステムの転換

    CGIARが国際農業研究をリードしながら、時代とともに移り変わる地球規模課題に合わせてミッションを転換し、組織変革を行って50年が経ちました。JARQ特集号に掲載された論文:『Changing Agendas of CGIAR’s International Agricultural Research』は、日本の貢献にも言及しながら、国際農業研究をリードしてきたCGIARのミッション及び組織沿革の変遷を地球規模課題に位置付けることで、食料栄養安全保障を決定づけてきた要因の変化を振り返り、フードシステム転換の将来を展望します。
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    456. 東京栄養サミット 農林水産省サイドイベントビデオアーカイブの公開

    2021年12月7日・8日に、日本政府の主催で東京栄養サミット2021が開催されました。農林水産省は本サミットに合わせてサイドイベントを主催し、国際農研も参加しましたが、今般、そのアーカイブ動画を整理し、農林水産省ホームページに公開しました。
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    455. グローバル・リスク2022

    世界経済フォーラム(WEF)が毎年1月に公表するグローバル・リスク報告書は、世界の指導者達の視点から地球規模問題の動向を占ううえで注目されています。今年の報告書は、短期的なリスクとして「社会の結束力 の弱体化」や「生活の危機」を挙げる一方、次の10年間に地球規模で人類・地球に最も苛烈なリスクをもたらすとして「気候変動対策の失敗」、「異常気象」、「生物多様性喪失」など環境・気候変動関連のリスクを挙げました。
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    454. 北極での温暖化と気候変動

    北極海は温暖化が最も顕著に進んでいる地域とされ、その影響は、北極圏を超えて、中緯度や低緯度にまで及ぶ可能性が指摘されています。1月7日にデンマーク北極モニタリングサービスPolar Portalが発表した報告によると、グリーンランドの氷床が25年連続で純喪失を記録、2021年中に観察された異常現象に注目が集まりました。
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    453. 国際農研-CCFS研究会ワークショップ 録画公開

    2021年12月17日(金)、国際農研-CFFS研究会主催、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)共催の下、「気候変動とコロナ禍の食料需給への影響―不確実性下のフードセキュリティ―」がオンラインで開催されました。このたび、ワークショップの様子を国際農研のYouTubeサイトで公開しました。見逃された方は是非ご覧ください。
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    452. CGIARにおける日本・日本人研究者の科学的貢献をJARQで情報発信 – 特別号論文公表

    CGIARは、開発途上国の農林水産業の生産性向上、技術発展を目的に1971年に設立された国際組織であり、傘下の15の国際機関(2020年現在)が独立した研究機関として機能し、作物、畜産、森林、漁業および自然資源管理など多様なテーマに即し、国際農業研究のフロンティアとして世界の食料・環境問題解決に貢献してきました。CGIARが2021年に設立50周年を迎えることを機に、CGIAR機関における日本・日本人研究者の科学的貢献とその主要な成果を、Japan Agricultural Research Quarterly(JARQ)の特集号として取りまとめ、今回、すべての論文が国際農研ホームページ上に公表されました。

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    451. 亜熱帯果樹の結実の安定化に関する研究

    熱帯・亜熱帯果樹は、熱帯や亜熱帯の生産地域における食料・栄養源であるとともに、小規模農家の収入源として重要な役割を果たしています。熱帯・亜熱帯果樹は種類が多く、数十の科に属す種からなり、果実の味や外観も多種多様です。そんな魅力あふれる熱帯・亜熱帯果樹の需要は近年世界のさまざまな亜熱帯・温帯地域でも高まっている一方、近年の地球規模での気候変動等の影響により、生産が不安定化する事例が多く報告されるようになってきました。生産を安定させ普及につなげるには、樹種ごとに開花結実を阻害している環境条件の解明と栽培地に適した品種の選択をすることが重要になります。