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765. 培養肉はコーシャとして認められるか?

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765. 培養肉はコーシャとして認められるか?

宗教によっては、食べてはいけない食品を規定していることがあります。その一方で、フードテックの進歩によって今まで存在しなかった新しい食品が世の中に出てきています。新しい食品を宗教の規定の中でどう扱うべきか判断が求められる事態が生じています。

先日、ユダヤ教の首席ラビが「培養肉はコーシャとして認められる可能性がある」という見解を示しました。組織培養で作り出した培養肉を食事規定のなかでどう扱うかを、宗教の指導者が公式に裁定した初めての例となります。

コーシャ(kosher)とはヘブライ語で「適正な」という意味で、ユダヤ教の食事規則を示します。ラビ(ユダヤ教の宗教指導者)が、食べて良いとされる食事にコーシャ認証を与えることになっています。

肉に関しては、食べて良い動物種であるか、屠殺方法や調理方法は適切か、という観点で判断されます。今回、イスラエルのアレフファームズの培養肉ステーキは、屠殺された動物に由来せず、血を含まないことから、パレブ(肉でも乳製品でもない中立的な食品)とみなされるべきだとしました。ただ、動物由来ではあることは確かなので認めるべきではない、いや幹細胞からの培養なので生きている動物から採取したとはみなされない、肉として販売される場合と代替肉として販売される場合で違う、などの意見もあり議論になっています。

なお、培養肉がコーシャ認証されたとしても、禁忌行為のように見えてしまう行動自体が禁じられているため、チーズバーガー(乳製品と肉を同時に食べることは禁忌)は認められないようです。

 

(参考文献)

TIME (2023) Israel’s Chief Rabbi Rules That Cultivated Meat Could Be Kosher. Not Everyone Agrees. https://time.com/6251154/lab-grown-meat-kosher-israel-rabbi/ accessed on April 21, 2023.

The Times of Israel (2023) Kosher cheeseburgers? Chief rabbi rules some cultured meat may not be ‘fleishig.’ https://www.timesofisrael.com/kosher-cheeseburgers-chief-rabbi-rules-so… accessed on April 21, 2023.

 

(関連するページ)
Pickup 197. 培養肉の販売が世界で初めて承認されるhttps://www.jircas.go.jp/ja/program/program_d/blog/20201217

Pickup 307. EUのノベルフードとしてはじめて昆虫食販売が承認される https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20210603

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)
 

 

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