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418. 気候科学において2021年に得られた新しい洞察

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418. 気候科学において2021年に得られた新しい洞察

2021年11月4日、気候危機に対する国際協調への道筋を決定する上でカギとなる気候変動科学の最新かつ最重要な10の洞察(10 New Insights in Climate Science 2021)が発表されました。2021年の新たなインサイトは以下になります。 

 

1: 温暖化を1.5℃に抑える可能性はまだ残っているが、その実現には世界レベルで大幅に温室効果ガスを削減する行動が求められる

2: メタン・亜酸化窒素排出の急激な増加は、2.7℃温暖化をもたらしかねない

3: 大規模火災 - 気候変動によって、火災による極端現象は極端なインパクトをもたらす新たな局面をもたらしている

4: 気候「転換点(臨界点)」は甚大な被害を引き起こしかねない

5: グローバルな気候アクションは公正でなければならない

6: 世帯レベルの行動変容を支援することは極めて重要だが、しばし気候アクションの選択肢として見過ごされてきた

7: 政治的な課題が、カーボン・プライシングの有効性を妨げている

8: ネーチャーベースド・ソリューションはパリ協定の実施にとって欠かせず、慎重に適用されるべき 

9:海洋エコシステムの強靭性構築は気候適応保全管理とグローバルな管理によって達成可能である

10: 気候変動緩和対策のコストは、人類と自然の健康に対する多くの便益が直ちに得られることで正当化されうる

 

とくに2のメタン・亜酸化窒素排出の急増は、農業・食料セクターに起因しているとされています。食料・農業セクターにおいて、これら温室効果ガス削減につながる、イノベーションを適用していくことが重要です。 それらは、窒素利用効率性向上、家畜のメタン排出削減につながる飼料、食肉の比率を抑えた健康な食生活の推進、食料廃棄物・ロスの削減、などがあり、これらの解決策は、人類の健康や環境にも便益をもたらすことが期待されています。

11月17日のJIRCAS国際シンポジウムでは、アジアモンスーン地域において、イノベーションを通じて食料安全保障と温室効果ガス削減を両立するための国際協力の在り方について議論されます。ぜひ、ご視聴ください。

 

JIRCAS国際シンポジウム2021
アジアモンスーン地域における持続的な食料システム実現に向けたイノベーション
―「みどりの食料システム戦略」に資する国際連携に向けたプラットフォーム―

日時:令和3年11月17日(水)14:00~16:15
開催:オンライン(YouTube JIRCAS channelよりライブ配信)
プログラム:https://www.jircas.go.jp/ja/symposium/2021/e20211117
申込:https://www.jircas.go.jp/ja/symposium/2021/e20211117/entry
締切:2021年11月16日(火)午前9時
 

 

 


参考文献
Martin, M., et al. (2021). Ten new insights in climate science 2021 – a horizon scan. Global Sustainability, 1-39. doi:10.1017/sus.2021.25
https://www.cambridge.org/core/journals/global-sustainability/article/t…

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

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