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772.食品ロス削減によって世界が受ける恩恵

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772.食品ロス削減によって世界が受ける恩恵

本日は、食品ロスの原因、削減による世界的な恩恵、解決策について述べた記事をご紹介します。

世界で生産される食料の3 分の 1(重量換算) 、10億トン以上が消費されずに失われています。カロリー換算では世界の食料供給の 24% に相当します。このような規模の食品ロスは、人間の健康・栄養だけでなく、経済と環境にも多大な害を及ぼします。廃棄された食品は世界経済に毎年1 兆ドル以上の損失をもたらし、世界の温室効果ガス排出量の約 8% ~ 10% を占め、気候変動を助長しています。その一方で、世界では 10 人に 1 人が栄養不足に陥っています。そして、現在の傾向が続けば、2050 年までに食品ロスが倍増するとも言われています。

ここで言う食品ロスには、食品損失(food loss(フードロス)、小売に到達する前の段階で失われた食品)と食品廃棄(food waste、小売や消費者が廃棄した食品)とが含まれます。食品損失の原因としては輸送・冷蔵・機械などの技術の不備や不適切な包装が挙げられます。食品廃棄の原因としては食品管理の杜撰さや消費者行動が挙げられます。

以前は、消費者レベルで発生する食品廃棄は先進国の問題、農業やサプライチェーンで発生する食品損失は途上国の問題、という見方がありましたが、最近ではそう一概には言えないと考えられています。中所得国では高所得国とほぼ同じレベルで食品廃棄が発生していますし、低・中所得国だけでなく高所得国でも食品損失が問題となっています。

食品ロス削減は、経済、企業、消費者、健康、環境に利益をもたらします。世界の栄養と食料安全保障が改善されます。温室効果ガス排出量も削減されます。経済的にも、2030年までに消費者の食品廃棄を20-25%減らすと世界で1200-3000億ドルの節約ができると推定されています。消費者も生産者も、経済的な恩恵を受けることができます。なお食品ロスはサプライチェーンのあらゆる段階で発生するので、家庭、レストラン、小売、生産、流通、加工、政府など、全ての人が問題に対処するための重要な役割を担っています。

 

参考文献
World Resources Institute. The Global Benefits of Reducing Food Loss and Waste. April 20, 2023. https://www.wri.org/insights/reducing-food-loss-and-food-waste (Accessed on May 1, 2023).

 

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(文責:情報広報室 白鳥佐紀子)
 

 

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