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763. 地球システムと社会経済システム
763. 地球システムと社会経済システム
明日、4月22日は、国際母なる地球デー(International Mother Earth Day)です。この日は、1960年代以降、環境問題への関心が高まりつつあったアメリカにおいて、1970年4月22日と設定され、以降、地球環境についての国際的な意識向上に貢献してきました。この国際デーのテーマは「我々の地球に投資せよ Invest in Our Planet」です。
人類の活動は、地球システムに大きな影響を及ぼしており、科学者の間で新たな地質時代 - 人新世(the Anthropocene)-を形成していると提案されています。1750年以降の産業革命以降、とくに1950年代以降は、社会経済システム指標*と地球システムの変容を示す指標**の変化が急速に加速しているように見られることから、グレート・アクセラレーション(The Great Acceleration)の時代とも評されています。
以前は、環境問題は社会経済問題からは別個のものとして考えられていた時代もあったようです。一方、工業的な化学肥料使用による農業生産の拡大がもたらした人口増加、都市化や経済発展に伴う動物性食品の生産・消費拡大、食のグローバル化は、地球温暖化や生物多様性喪失の主要な原因ともなっており、食料システムの地球システムに与える影響は甚大です。
マザーアースデイなどを契機に人類の活動が地球システムに与える影響について認識し、地球にやさしい社会経済システムの発展・フードシステム展開に向けたイノベーションや行動変容が必要です。
*社会経済システムの指標:人口、国内総生産(実質GDP)、対外直接投資、都市人口、一次エネルギーの使用、化学肥料の使用、巨大ダム、水利用、製紙、交通、遠隔通信、海外旅行
**地球システムの指標:大気中の二酸化炭素濃度、亜酸化窒素、メタン濃度、オゾン層破壊物質による成層圏オゾンの損失、北半球の平均気温の異常、海洋酸性化、海洋における漁獲量、エビの養殖量、沿岸域の窒素、熱帯雨林と森林地域の喪失、土地利用の増大、陸上の生物種の推定絶滅率
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)