現地の動き - Pick Up
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892. 2023年10月 世界食料価格動向
国連食糧農業機関(FAO)は、11月3日、世界食料価格動向を公表しました。2023年10月の値は平均120.6ポイントで、前月より0.7ポイント(0.5%)低く、前年比で14.8ポイント(10.9%)低い値をとりました。10月の価格指標の微減は、砂糖・穀物・食用油と食肉価格の下げを反映しました。 -
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891. 温暖化を食い止めるために残された炭素収支
カーボンバジェット (Carbon Budget) :炭素収支とは、「他の人為的気候変動要因の影響を考慮に入れた上で、地球温暖化をある一定の確率下で、特定の気温上昇レベル以内に抑えることができる、累積CO2排出量の最大量」を指します。10月30日、Nature Climate Change誌で公表された論文は、温暖化を1.5℃以下にとどめるために排出可能な残りの炭素収支(the remaining carbon budget (RCB))は僅かしか残っていないと指摘しました。 -
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890. 気候変動のもと地球上の生命は未知の領域へ
10月24日、BioScience誌にて、世界の著名な研究者が2023年気候白書(The 2023 state of the climate report: Entering uncharted territory)を発表、気候変動の加速的な進行により地球上の生命は未知の領域に突入したと警鐘をならしました。そのメッセージを紹介します。 -
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889. 極端現象に晒される世界における水不足のセクター別インパクト
増え続ける世界人口と経済発展に応じ、生活用水から農業・工業・エネルギーなどの様々な分野での水利用は増加傾向にあります。さらに、極端現象の頻度の上昇はしばし水不足をもたらし、分野ごとに異なる水利用レスポンス(反応)を伴います。最近、Environmental Research Letters誌で公表された論文は、様々な要因(人口密度・気候条件・水供給システムアクセス・公共水管理計画・規制制度)が複雑に絡み合い、水利用レスポンスは分野・地域で異なる一方、今後、極端現象の頻度が増すと予測される中、水不足の軽減や水管理戦略を改善するために分野別、地域別のさらなる細やかなデータ収集の必要性を訴えました。 -
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888. 熱帯雨林の樹木は雑種化することで新しい能力を身につける
東南アジアの熱帯雨林は種の多様性がとても高く、世界で最も多様な動植物が生息する地域の一つです。将来の東南アジアの熱帯雨林は、気候変動により干ばつが増加すると予想され、今後は乾燥に対する耐性能力が樹木の生存にとって重要になります。このたび、雑種化によって樹木の乾燥耐性がどのように変化するのか検証してみました。 -
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887. 気候変動と生物多様性喪失:グローバルヘルスの緊急事態
10月25日、The BMJ, The Lancetなどの著名な医学誌を含む200以上の学術誌の編集長らが共同で論考を発表、国連・政治家・専門家らに対し、気候危機および生物多様性喪失の問題をグローバルヘルスの緊急事態として一体的にとらえ、災厄回避のために緊急に対応する必要性を訴えました。 -
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886. 適応策のアクター
気候変動に起因する異常気象が頻発化する世界において、気候変動適応策をテコ入れしていくことが求められています。一方、適応策の計画・実施においてどのような社会的アクターが存在し、どのような役割を負うべきかについて不明なことが多すぎます。Nature Climate Change誌で発表された論文は、ケーススタディに関する文献を精査し、適応策実施において個人・世帯が最も重要なアクターであるとし、適応策の制度的設計に関わる政府やその他アクターとの連携調整の必要性を強調しました。 -
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885. 輸出商品依存経済の直面する問題
穀物や綿花などの農産品から電子産業に用いる銅などの鉱物資源は世界貿易の要ですが、これらへの過度の依存は経済・とくに貧困層を市場ショックに晒すことになります。とりわけ一国の輸出収入の60%以上を占めるような「輸出商品依存 “commodity dependent”」は、途上国にとって深刻な状況をもたらします。国連貿易開発会議(UNCTAD)が公表した報告書は、輸出商品依存が開発にもたらす5つの課題を論じました。 -
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884. 国際農研育成のサトウキビ品種がタイ国の奨励品種に採用 ―バガスを利用したバイオエネルギー等の増産が期待―
国際農研とタイ国農業局コンケン畑作物研究センター(以下、「KKFCRC」)が共同で育成した、バガスの生産性が高いサトウキビ品種「TPJ04-768」が、タイ国の奨励品種「DOA Khon Kaen 4」(ディーオーエー コンケン4、以下、「KK4」)として採用されました。タイ国のサトウキビ産業において、日本との共同研究の成果が奨励品種に採用されることは初めてのことです。 -
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883. SDG2達成に向けた科学技術イノベーション推進と食習慣の見直し
国際社会が紛争や気候変動への対応に追われる中、2050年に約100億人に達すると予測される世界人口を養っていく上で、母なる地球は多くの課題に直面しています。より栄養のある食をより多くの人に最小の環境負荷のもとで届けるには、生産面での科学技術イノベーションと消費面での食習慣の見直しがカギとなります。 -
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882. リンの肥培管理を通じて、健康機能性に優れた黒米を生産する
コメを主食とするラオスにおいてイネは最も重要な作物ですが、輸送コストがかかる内陸国で、かつ周辺にコメ生産大国が存在しているため、ラオス米の市場拡大には、付加価値が高く、他国との差別化が可能なコメの生産と輸出が不可欠です。そこで国際農研では、ラオスの黒米に着目して研究を推進しています。土壌中のリンの多寡が、黒米の生産性と機能性に及ぼす影響を検証したところ、土壌に応じたリン肥培管理を導入することにより、黒米の生産性と機能性の両立が可能であることを示唆する結果を得ました。この成果は途上国の黒米生産者の生計向上にとって重要な知見になると考えられます。 -
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881. 災害の農業・食料安全保障へのインパクト
農業は災害リスクに最も脆弱な部門の一つです。システムが直面するリスクを見越して対策をとり、災害リスク管理をとりいれるための情報が必要となります。10月13日、国連食糧農業機関(FAO)は、農業への災害インパクトについてとりまとめた報告書を公表、世界全体で過去30年間に3.8兆ドルの作物・家畜生産が喪失されたとの推計値を発表しました。 -
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880. 南米における熱波と旱魃
既に今年9月の記録的な高温については既に欧州の気象機関からも報告されているところですが、この9月、春を迎えたタイミングの南半球も40℃を超える異常な熱波に見舞われ、極端現象と気候変動の因果関係を分析するWorld Weather Attributionは気候変動の影響を指摘しました。 -
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879. 食料・飼料安全保障に対する農薬削減の影響
近代的な農業生産システムは、収量向上のための肥料や病害虫防除における農薬など、化学物質に大きく依存してきました。Nature Food誌にて公表された論考は、ヨーロッパにおける農薬の環境負荷の影響と食料・飼料安全保障に関する短期的および長期的な損失と効果についての議論を紹介した上で、農家・地域・作物ごとの農薬適用の違いを認識し、農薬使用に関するデータ収集を向上することで、より持続的な食料システムに関する研究・政策のボトルネック解消の必要性を訴えました。 -
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878. ~水は命、水は食料。誰も取り残さないために~
本日10月16日は国連が定める世界食料デーです。2023年のテーマは水です。食料生産においてなくてはならいない存在水について、世界そして我々が直面する課題について取り上げたいと思います。 -
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877. 「無視され十分に活用されてこなかった植物種:サハラ以南アフリカにおける持続可能な食料システムへの貢献と可能性」に関するセミナー
食料安全保障・気候変動・農村生業・環境持続性の絡み合い(ネクサス)において、気候変動に強靭で、栄養に富み、高収量性にもかかわらず、これまで無視され十分に活用されてこなかった植物種(Neglected and Underutilised Plant Species (NUS))への注目が集まっています。10月26日、東京大学未来ビジョンセンターと国際農研でNUSに関するセミナーをハイブリッドで開催、日本および海外の研究者に対し、アフリカの異なる異なる状況(コンテクスト)におけるNUS利用普及の可能性と課題について議論の機会を提供します。 -
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876. 地政学的分断が脅かす食料安全保障とクリーンエネルギー移行
グローバル化が進んだ世界において、グリーン経済移行に不可欠なレアメタルや農産物は資源賦存・比較優位を持つ少数の生産・輸出国に集中しており、地政学的な危機による取引中止というリスクにさらされています。国際通貨基金(IMF)のブログは、地政学的な分断(Geoeconomic Fragmentation)が食料安全保障・クリーンエネルギーへの移行を脅かしかねないことに警鐘を鳴らしました。 -
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875. 2023年気温動向とCOP28に向けたストックテーキング
10月に入って以来、気温の乱高下にとまどう今日この頃ですが、2023年9月は日本ならびに世界で平年差を大きく上回る高温を記録したと発表されました。One Earth誌の論考は、温暖化を出来る限り1.5℃未満に抑制することを謡ったパリ協定を達成するために、3つの分野 - 二酸化炭素以外の温室効果ガス(non-CO2 gases)、二酸化炭素除去(Carbon Dioxide Removal: CDR)、森林破壊の食い止め(halting deforestation)、に焦点を当てるべきと提案しました。
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874. 2023年9月 世界食料価格動向
国連食糧農業機関(FAO)は、10月6日、世界食料価格動向を公表しました。2023年9月の値は平均121.5ポイントで、砂糖・穀物価格指標の上昇を植物油・食肉価格指標の下落が相殺し、前月と横ばいの水準となり、前年比で21.6ポイント(14.6%)低く、2022年3月のピーク値に比べ38.3ポイント(24.0%)低い値をとりました。 -
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873. 世界農業生産性
10月3日、バージニア工科大学が世界農業生産性レポート(Global Agricultural Productivity Report, GAP Report)を発表、環境を保全しながら拡大する世界人口を支えうるためには、生産性・効率性向上技術や慣行の採択を通じ、世界平均で年率1.91%の農業生産性向上を達成する必要性を強調しました。