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859. 9つのプラネタリーバウンダリーのうち6つが危険領域に

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859. 9つのプラネタリーバウンダリーのうち6つが危険領域に

2009年当時、ストックホルム・レジリエンス・センターのロックストローム博士のグループは、プラネタリーバウンダリー(地球の限界)概念を提唱、地球システムの安定性にとり最重要なプロセスとして、気候変動、生物圏の一体性、生物地球化学的循環(窒素・リン)、海洋酸性化、土地利用の変化、淡水利用、オゾンホール、大気エアロゾル粒子、新規化学物質による汚染、の9つのバウンダリーが選ばれました。科学者らは、これらプラネタリーバウンダリーに対する人為的な攪乱度の数量化も試み、「Safe Operating Space (SOS):地球システムが自らの回復力 (resilience) を発揮することによって基本的な機能を維持できる、いわば人類が安全に活動できる領域」を定義してきました。2009年時点で、これら9つのうち、気候変動、生物多様性、窒素の生物地球化学的循環、が既に危機にあるとされてきました。

9月13日、Science Advances誌に公表された論文は、9つのプラネタリーバウンダリーのうち、気候変動、生物圏の一体性、生物地球化学的循環(窒素・リン)、土地利用の変化、に加え、淡水利用、新規化学物質汚染、の6つが危険領域を超えていると結論しています。海洋酸性化も領域を超えるギリギリの状況にあり、大気エアロゾルは地域よっては既に超え、既に領域を超えているバウンダリーの状況は悪化しています。

論文は、地球システムにおいては、各バウンダリーが独立するのではなく、時間空間的な地球圏・生物圏のダイナミックな相互作用とフィードバックのパターンを示すとし、地球システムへの人間活動による人為的なインパクトをシステム全体で考慮する必要を訴えました。とりわけ、気候変動に次いで、地球の安定性にとり決定的に重要な役割を果たす生物圏の一体性は密接に相関しており、地球温暖化の回避と生物圏機能の保全は同時進行で推進される必要があります。論文は、生物多様性の喪失原因として、1960年以降の世界人口増加と食料・繊維・飼料への需要が土地利用変化を加速させてきたことに言及し、プラネタリーバウンダリーの下で100億人の世界人口を支えることは理論的には可能としても、その実現には生産による環境負荷を削減しつつ資源に対する需要抑制を伴う大幅な変革の必要性を喚起しました。


(参考文献)
Katherine Richardson, Earth beyond six of nine Planetary Boundaries, Science Advances (2023). DOI: 10.1126/sciadv.adh2458. www.science.org/doi/10.1126/sciadv.adh2458

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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