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848. アジア太平洋地域における生活費高騰と貧困

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848. アジア太平洋地域における生活費高騰と貧困

8月24日、アジア開発銀行は、昨年のインフレによる生活費高騰の危機は、COVID-19パンデミックの長引く影響と相まって、アジア太平洋地域人口の3.9%に相当する推計1億5520万人の人々を極度の貧困に押しやったと報告しました。ここでの極度の貧困は、インフレ調整済みの2017年価格で一日あたり2.15米ドル相当以下の生活に相当し、1億5520万人という数字は、仮にパンデミックと生活費高騰が起こらなかった場合よりも6780万人高い値だそうです。
 

アジア太平洋地域はCOVID-19パンデミックから順調に回復してきましたが、生活費の高騰が貧困撲滅に向けた努力を損ねています。貧困層は食料や燃料といった必需品価格の高騰から最も打撃を受け、ヘルスケアや教育といった長期的な生活向上につながる活動のための貯蓄や投資を妨げられています。しばし金銭的な対価のない仕事に従事する女性はとりわけ大きな打撃を受ける傾向にあります。また、貧困層は収入が少ないだけでなく、財やサービスの購入においてしばし長期的に高くつく少量での購入を迫られます。さらに、インフォーマルな住居環境を選択せざるを得ず、健康被害に晒される場合も多いです。

アジア太平洋地域は今後貧困削減での進展を見込んでいますが、2030年までに地域人口の30.3%に相当する12億6000万人が経済的に脆弱な状況とされる1日3.65-6.85ドル相当の暮らしにとどまることが予測されています。

報告書は、地域の政府に対し、貧困層へのセーフティーネットを拡充し、農業開発や金融サービスアクセスの改善、成長と雇用の機会を創造するためのインフラ・人的開発への投資や技術イノベーションを促進することを呼びかけました。


(参考文献)

Asia Development Bank (2023) Key Indicators for Asia and the Pacific 2023 https://www.adb.org/publications/key-indicators-asia-and-pacific-2023 


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

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