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1165.カカオ・コーヒー価格の高騰

1165.カカオ・コーヒー価格の高騰
ここのところ、カカオおよびコーヒーの国際価格が高騰しています。この背景に、気候変動による天候の不確実性の影響が指摘されています。
チョコレートの原料であるカカオ価格は、4月に過去最高値を記録し、9月には一時下落しましたが、世界生産高の70%以上を占める西アフリカの生産量に対する懸念が再燃し、再び高騰しています。2023/24年シーズンのカカオ市場は、コートジボワールとガーナでの不作により、在庫比率が下がり、価格高騰をもたらしました。2024/25年シーズンの見通しは良くなっていますが、西アフリカの天候の動向については、依然として懸念があります。
コーヒーに関しては、過去1年間で、アラビカの価格は約70%跳ね上がり、ロブスタの価格は2倍になりました。先週、先物市場でのアラビカ価格は、約50年ぶり、1977年以来の記録を上回りました。ブラジルは、世界で最も人気のあるアラビカ豆の最大の栽培国ですが、農家は今年、記録上最悪の干ばつに直面しました。インスタントコーヒーによく使用されるロブスタと呼ばれる2番目に人気のある豆のトップ栽培国、ベトナムの生産者も深刻な干ばつに直面し、その後、通常よりも激しい雨が降りました。
欧州連合(EU)の森林破壊規制(EUDR)は、市場が直面しているもう一つの不確実性の原因でした。この規則は2024年12月に施行される予定でしたが、委員会は最近これを1年延期することを決定しました。EUが世界のコーヒー市場の主要な輸入国であることを考えると、この規制はコーヒーの生産と貿易に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)