Pick Up

1196. 気候変動のカカオ生産への影響

関連プログラム
情報

 

1196. 気候変動のカカオ生産への影響

 

本日はバレンタインデーですが、チョコレートの主原料であるカカオは、カカオ植物の豆の鞘から生産されます。カカオは特定の範囲の温度と降雨量の条件下で生育し、最高華氏90度(32°C)までの気温が最適とされており、また年間降雨量の合計が 1,500 ~ 2,000 mmで、乾期が 3 か月以内のときによく成長するとされ、この範囲を超える気温や降雨パターンの変化は収穫量と品質を低下させる可能性があります。

世界のカカオの 70% が西アフリカで生産され、カメルーン、コートジボワール、ガーナ、ナイジェリアが世界トップ4の生産国です。気候変動科学に関する情報提供を行う非営利団体の Climate Centralによると、人為的な気候変動により、コートジボワールとガーナのカカオ栽培地域では、カカオの生育を制限する暑さ (最高気温が華氏 90 度を超える) の頻度が増加しました。また2024 年、降雨パターンに一貫性がなく、カカオの成長不良につながりました。

 

今後、気候変動により、西アフリカを含む世界の多くの地域で、極度に乾燥した状態と極度に湿った状態の遷移が頻繁に起こると予測されており、カカオの生産に影響を与える可能性があります。気温と降雨量の変化による直接的な影響にとどまらず、病害虫の蔓延もカカオの収穫量と品質に影響を与え、特定の地域でのカカオ生産の継続が脅かされる可能性も指摘されています。

気候変動適応対策として、暑さや干ばつに強い品種開発、日陰を作るためにカカオの間に背の高い木を植えること、将来の敵地に生産活動を移行すること、などが含まれます。一方、小規模カカオ農家にとり、労働集約的、また専門知識を必要とする適応の実施は困難であることも懸念されています。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

関連するページ