現地の動き - Pick Up

現地の動きから検索

  • Pick Up

    860. 『雑穀 - 栄養・農業・気候の課題に対応する潜在能力』来週開催

    一週間後の9月26日、2023年国際雑穀年を機に、セミナー『雑穀 - 栄養・農業・気候の課題に対応する潜在能力』を、ハイブリッド開催します。今回のセミナーでは、気候変動や栄養問題の解決に資する雑穀への認識を深めるため、雑穀研究の最新動向や利用可能性について、国内外の研究者が議論を交わします。ぜひご参加をご検討ください。
  • Pick Up

    859. 9つのプラネタリーバウンダリーのうち6つが危険領域に

    プラネタリーバウンダリー(地球の限界)は、2009年当時、ストックホルム・レジリエンス・センターのロックストローム博士のグループが提案した概念です。9月13日、Science Advances誌に公表された論文は、9つのプラネタリーバウンダリーのうち6つが危険領域を超えているとし、人間活動の地球への人為的なインパクトをシステム全体で考慮する必要を訴えました。
  • Pick Up

    858. 食料システムにおけるネットネガティブ排出の実現可能性

    気候変動対策における温室効果ガス排出を限りなく削減し、できれば炭素貯留を実現するためのシステム変革が求められています。二酸化炭素の吸収量が排出量より多ければ、全体の排出量がマイナスとなるネットネガティブな排出の達成も可能かもしれません。9月上旬にPLOS CLIMATE誌で発表された論文は、食料システムがネットネガティブ排出を実現する上で、気候スマートな農業技術を駆使し、「ゆりかごから墓場まで “cradle-to-grave”」かつ「陸から海まで“land-to-sea”」に至る、多面的な排出削減戦略を活用していく可能性を示しました。
  • Pick Up

    857. パリ協定達成に向けた進展状況

    9月8日、気候変動に関する国連枠組条約(UNFCCC)は、年末にドバイで開催予定の国連気候変動枠組条約第28回締約国会議 (COP28)を前に、パリ協定達成に向けた進展状況についてとりまとめた報告書を発表、気候変動対応に向けたアクションの強化・加速化を訴えました。
  • Pick Up

    856.アジアモンスーン地域における科学・技術・イノベーションの適用を通じた持続可能な食料システムの変革の推進:グリーンアジア レポートシリーズ第1号を公表

    農林水産省が令和3年5月に公表した「みどりの食料システム戦略」を踏まえ、 農林水産省が気候変動緩和と持続的農業の実現に資する技術のアジアモンスーン地域での実装を促進することを目的とした「みどりの食料システム基盤農業技術のアジアモンスーン地域応用促進事業」を令和4年度から開始し、国際農研が同事業をグリーンアジアプロジェクト(略称)として実施しています。今般、グリーンアジアプロジェクトの実施のための背景を整理したレポー トを作成しました。
  • Pick Up

    855. 2023年8月 世界食料価格動向

    国連食糧農業機関(FAO)は、9月8日、世界食料価格動向を公表しました。2023年8月の値は平均121.4ポイントで、前月から2.6ポイント(2.1%)下落、先月の価格上昇を反転し、2022年3月につけたピーク値よりも38.3ポイント(24.0%)低い水準です。この下落は、乳製品、植物油、肉類、穀類の価格指標下落を反映した一方、砂糖価格指標は緩やかに上昇しました。一方、コメ価格は前月比9.8%増と上昇傾向を示しています。
  • Pick Up

    854. 2022年の気候と2023年の見通し

    9月6日、アメリカ海洋大気庁は、2022年気候白書を公表、温室効果ガスの大気濃度、海面上昇、海洋熱量など、気候変動に関するの兆候を示す指標の多くが史上最高値を更新したと発表しました。同じく9月6日、世界気象機関(WMO)が2023年8月は史上最も暑い8月と発表したのを受け、国連事務総長は「煮え立つ季節 ‘a season of simmering’」と評し、「気候崩壊'Climate breakdown'」への警鐘を鳴らしました。
  • Pick Up

    853. 森林火災・山火事のトレンド

    世界資源研究所(WRI)は、近年、森林火災の被害が拡大しているとのデータ分析結果を発表しました。寒帯・亜寒帯の針葉樹林では「 火災・気候のフィードバックループ“fire-climate feedback loop”」が発現し、熱帯林では森林地域における人間活動の拡大が森林火災への脆弱性を悪化させ、温帯・亜熱帯地域では気候変動や土地利用変化が近年の火災増加の原因となっています。各地の事情に応じて、森林破壊や森林劣化を食い止め、森林の強靭性を向上することが喫緊の課題となります。
  • Pick Up

    852. 2023年8月アジアの天候

    この夏、北半球で異常な熱波が観測されていましたが、アジアの各地でも史上最高気温や異常気象が報告されました。世界最大の人口を抱えるインドでは、2023年8月、モンスーン雨季にもかかわらず1901年の観測史上最も暑く乾燥していた一方、局地的な豪雨を経験しました。Nature誌で公表された論文は、深層学習を用い、温暖化が水循環にインパクトを与え、日々の降雨の極端な変動をもたらしている傾向について示しました。
  • Pick Up

    851. アフリカの脆弱国家は気候変動の最大の犠牲者である

    気候変動はアフリカに極めて深刻な脅威をもたらしていますが、とりわけ脆弱で紛争状態にある国々において深刻な影響を及ぼしています。8月30日、IMFは、アフリカの脆弱国家は気候変動の最大の犠牲者であるとの報告書を発表、国際社会がこれらの国々に対し極端気象に適応する支援をしなければ、より破滅的な状況をもたらしうると警鐘を鳴らしました。
  • Pick Up

    850. 食料価格の高騰は貧困を増やすのか?減らすのか?

    食料価格の高騰が貧困に与える影響は少々複雑です。本日は、Nature Food に掲載された論文(Headey & Hirvonen, 2023)を紹介します。
  • Pick Up

    849.イネの根のかたちの改良によりリン吸収が上昇する

    植物の三大栄養素のひとつであるリンは生育や収量と密接に関わることから、植物への十分な供給が必要です。しかし、世界の多くの農地はリンの供給に乏しいほか、アフリカなどの開発途上地域においては経済的な面から十分な肥料を購入することが難しいため、作物は慢性的なリン欠乏に陥っています。国際農研は根のかたちの対照的な2品種のイネを用いた遺伝学的解析から、イネの側根の発達および冠根数を制御する遺伝子座を発見するとともに、それらがリン欠乏圃場において植物体のリン吸収の上昇に効果を発揮することを示しました。この研究成果は将来的に、リン欠乏の蔓延する開発途上地域におけるイネの収量改善や、イネのリン利用効率の向上に伴う施肥量の削減などにつながることが期待されます。
  • Pick Up

    848. アジア太平洋地域における生活費高騰と貧困

    8月24日、アジア開発銀行は、昨年のインフレによる生活費高騰の危機は、COVID-19パンデミックの長引く影響と相まって、アジア太平洋地域人口の3.9%に相当する推計1億5520万人の人々を極度の貧困に押しやったと報告しました。
  • Pick Up

    847. 気候変動と子どもの権利

    気候変動は、温室効果ガス排出に関わっていない脆弱な社会層や、適応能力が十分でない世代に不均衡なインパクトを及ぼすことが問題です。8月28日、国連は、加盟国に対し、気候変動・生物多様性の喪失・蔓延する環境汚染に緊急に立ち向かうことで、子どもが「清潔で健全かつ持続可能な環境への権利」を享受することを保障する必要性を訴えました。
  • Pick Up

    846. 「新しいあたりまえ」

    8月も残り僅かですが、世界中で異常気象の報告が続き、スイスでは氷点下となる標高が記録を更新、カナダでは史上最悪の山火事が観測されています。世界気象機関(WMO)は異常気象が「新しいあたりまえNew Norm」になったと述べ、極端現象と気候変動の因果関係を分析するWorld Weather Attributionは、気候変動によってカナダ東部の山火事が起こる確率が2倍増加していると発表しました。
  • Pick Up

    845. サバクトビバッタが脱皮中の共食いを避ける行動を解明 -農薬使用量の削減に繋がる防除方法確立のために

    サバクトビバッタは、アフリカからアジアにおいて深刻な農業被害をもたらす重要な害虫です。野外における生態に不明な点が多いため、大発生し問題が顕在化した後に環境負荷が大きい非効率な防除を行わざるを得ない状況になっています。そこで国際農研では、バッタの被害の軽減を図るため、その生態に基づいた効率的な防除技術の開発を進めています。今回は、上記の研究のうち、農薬使用量の削減に繋がる防除方法を確立するために必要不可欠なバッタの幼虫の集団行動、特に脱皮中の共食いを避ける行動に関する国際農研の研究成果について紹介します。
  • Pick Up

    844. セミナー『雑穀 - 栄養・農業・気候の課題に対応する潜在能力』

    2023年国際雑穀年を機に、国際農研は雑穀に関するセミナーを企画、9月26日に東京の会場とオンラインのハイブリッドの形式で開催いたします。本セミナーでは海外および日本で雑穀研究に携わる科学者が、世界的な気候変動や栄養問題に対する雑穀研究の可能性について議論する場を提供し、雑穀の気候耐性と栄養面での利点に対する認識を高めます。ぜひご参加をご検討ください。
  • Pick Up

    843. 飼料木のサイレージ発酵を促進する調製法とメカニズムを解明

    国際農研は、世界的には飼料木としても利用されるクワ枝葉を用いたサイレージの調製を行い、その発酵品質を向上させるために添加した乳酸菌製剤、セルラーゼ、及びそれらの相乗効果を示しました。また最新のDNAシーケンス技術を用いて、サイレージ発酵における細菌叢のダイナミックな変動と細菌種相互の相関関係を明らかにしました。乳酸菌製剤とセルラーゼは、嫌気性発酵においてグラム陰性菌からグラム陽性菌への優占菌の変化を促進し、乳酸菌を中心とした細菌の微生物ネットワークを形成しました。これらの成果・知見は、今後、半乾燥地で乾季に不足する家畜栄養の改善、家畜生産性や農家所得の向上のため、現地で利用できる飼料木を用いたサイレージ調製法として応用することが期待されます。
  • Pick Up

    842. 持続性に資する自然の多様な価値

    世界中の人々が経済的な効用にとどまらない様々な視点で自然に価値を見出しています。一方、人々が自然を評価する視座の多様性は、重要な政治的・経済的意思決定において反映されているとは言えません。Nature誌に掲載された論文は、自然が過小に評価されていることが今日の環境危機の原因であると指摘しました。
  • Pick Up

    841. 食卓のアレを使って土壌分析!?

    土壌にはリン酸と結合する性質(リン吸着能)があります。畑の土壌のリン吸着能が強いと、せっかく撒いたリン肥料が、作物に吸収される前に土壌と結合してしまうため、施肥効率が悪くなります。そのため、リン吸着能は施肥基準としても利用されます。最近の研究によって、リン吸着能が土壌水分含量と密接に関係していることがわかりました。国際農研とマダガスカル アンタナナリボ大学の研究チームは、この関係を利用して、食塩(塩化ナトリウム)を使ったある工夫を加えることで、土壌水分含量からリン吸着能を精度よく、しかも簡単に推定する手法を開発しました。