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897. エルニーニョ現象は2024年4月頃まで継続の見込み
897. エルニーニョ現象は2024年4月頃まで継続の見込み
7月4日、世界気象機関(WMO)は、エルニーニョ現象の兆候が見られると宣言していましたが、11月8日、この現象が少なくとも2024年4月まで継続し、陸域・海域の温度上昇に影響しうると発表しました。
10月中旬時点において、太平洋中央部~東部の海面温度およびそのほかの指標はエルニーニョ現象と整合的であることを示しています。エルニーニョは7-8月に急速に発展し、11月~2024年1月にかけてピークに達すると見込まれています。
エルニーニョは、2~7年に一度起こる現象で、通常9~12か月続きます。エルニーニョ自身は太平洋赤道付近の海面温度を上昇させる自然現用ではありますが、人為的な活動による気候変動のコンテクストで起こる場合の影響に注意を払わねばなりません。
エルニーニョの世界気温へのインパクトは、通常、現象の1年後にあらわれるとされ、今回の場合は2024年です。しかし6月以来既に記録的な陸域・海面温度を記録しており、赤道付近太平洋の中部~東部の月平均海面温度は2023年5月に1991-2020年平均値よりも0.5℃高かったものが、2023年8月には1.5℃高い値をとりました。2023年は史上最高に暑い年になりそうなことはほぼ確実とみられており、来年はそれよりも暑くなる可能性もあります。
WMO事務局長は、この背景に人為的活動に伴う温室効果ガスの影響は疑う余地がないとしています。実際、前回、史上最高気温を記録した2016年は、非常に強いエルニーニョ現象と温室効果ガスによる人為的な温暖化という二重のショック(“double whammy”)が重なったことが原因と指摘されています。
地域によっては、熱波・干ばつ・山火事・豪雨・洪水といった異常気象の頻度と被害が拡大する可能性があります。ただし、世界・地域の気候パターンを決定づけるのはエルニーニョ現象だけでないため、エルニーニョ現象が強いことは、局地的なインパクトの強さを必ずしも意味しません。これまでエルニーニョ現象のインパクトが過去のケースと全く同じであった経験はありませんでした。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)