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1018. パナマ運河の低水量はエルニーニョ現象が原因
1018. パナマ運河の低水量はエルニーニョ現象が原因
2023年6月以来、パナマ運河を管轄する当局は、パナマ運河の水利機構を構成するガトゥン湖の水量が歴史的に低水準を記録したことを受け、パナマ運河を通行する船舶の数と規模を規制しており、世界のサプライチェーンの攪乱の一因となってきました。
極端現象と気候変動の因果関係を分析するWorld Weather Attributionは、今回、パナマ運河の水量減に影響を及ぼした要因として、エルニーニョ現象に言及しています。
歴史的に、低い水量水準は、雨季の降雨量が少ない後に発生する傾向があります。湖の水量は2024年の最初の3か月に季節的に低い水準をとりましたが、5月に雨季が始まれば今後回復するのではないかとみられています。
1.2℃温暖化した現在の気候の下で、エルニーニョ現象によってENSO定常状態に比べて降水量は8%低くなるとし、したがって今回のような低水量が起こる可能性も高く、40年ごとに起こりうると推計されます。一方、気候モデルは今回の干ばつが人為的な気候変動によって引き起こされたと結論できませんでした。
エルニーニョは、最近のブラジル南部や東アフリカで大洪水をもたらした要因と報道される一方、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、6月にエルニーニョが終息し、ラニーニャ現象に移行する可能性(6-8月・49%、7-9月・69%)を指摘しています。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)