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977. 紅海・パナマ運河サプライチェーンの攪乱

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977. 紅海・パナマ運河サプライチェーンの攪乱

 

黒海の海上輸送は順調に回復しているとの報道もあるなか、過去数か月にわたり、世界貿易の要である二つの海上航路がサプライチェーン寸断のリスクに晒されています。

IMFのブログは、衛星データ・ビックデータ解析により異常気象等による貿易への影響をいち早く把握・予測することを可能にするPortWatchプラットフォームのデータを用い、物流への影響を分析しました。

混乱する中東情勢のもと、紅海を通過する船舶へのフーシ派による攻撃によって、アジアと欧州を結ぶ最短航路で平時は世界の海上貿易量の15%を占めるスエズ運河のサプライチェーンが大きく影響を受けています。スエズ運河を通過する船舶は前年比で50%減少し、その代わり喜望峰経由の船舶が前年比で74%近く増加しています。喜望峰への迂回は平均10日以上追加時間を要するため、在庫に制約のある企業には大きな打撃となります。一方、水量不足に直面するパナマ運河を通過する船舶も、前年比で32%減っています。

PortWatchによると、2024年1月と2月、サブサハラアフリカの70の港湾に立ち寄る船舶が前年比で6.7%下落し、欧州・中東・中央アジアでは5.3%下落しました。IMFのブログは、現状が続くようであれば、こうしたサプライチェーンの寸断がさざ波のようになり、影響を受ける国々のサプライチェーンに影響を及ぼし、食料・燃料価格等のインフレ圧力になると警鐘をならしました。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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