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567. 野菜・果物のサプライチェーンに革新を

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567. 野菜・果物のサプライチェーンに革新を

野菜と果物が人類および地球の健康によいということに異を唱える人は少ないでしょう。野菜と果物は栄養に富み、WHOによる1日400gの摂取推奨は、心臓病やガンの一部のリスク削減に効果的であるというエビデンスに基づいています。環境負荷の視点からも植物性食品中心への食生活へのシフトは有益であるとされ、EAT-Lancet報告書は地球の健康のためには一日500gの野菜・果物摂取を推奨しています。

他方、野菜と果物を巡る食料システムは、食品ロス(フードロスや廃棄)・フードマイレージ(食料の輸送距離)・気候変動といった課題に直面しています。Nature Food誌で6月23日に紹介された論説では、世界の人々による野菜・果物の安定的な供給システムへのアクセスを保障するには、技術的・政治的なイノベーションが必要と呼びかけました。

世界では毎年20億トンの野菜・果物が生産され、これは世界中の人々の推奨摂取量を満たす量だとされています。しかし、野菜・果物の半分がロスあるいは廃棄され、全ての人々に健康で持続的な食生活を提供するには足りないという事態が生じています。パッケージや輸送中のロス・廃棄、フードマイレージによる排出、気候変動の問題などがグローバルな野菜・果物の生産・供給における問題となっています。デジタル農業・ゲノム技術・垂直農業・添加剤の製造、といった技術イノベーションなどがサプライチェーンを転換させる上での選択肢を提供することが期待されます。技術的解決だけでなく、政治的環境も重要です。

 

昨年末、国際農研はオンラインで「野菜・果物―地球と人間の健康のための研究と行動の機会」イベントを開催し、野菜・果物が健康・開発・環境に貢献するための研究の可能性について議論しました。
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20211115

その際の発表や議論の模様は、国際農研のYouTubeサイトで視聴可能です。
https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20211214

 

(参考文献)
Innovation in fruit and vegetable supply chains. Nat Food 3, 387–388 (2022). https://doi.org/10.1038/s43016-022-00548-1

 

(文責:情報広報室 白鳥佐紀子・金森紀仁、食料プログラム 中島一雄、情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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