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776. 世界商品市場価格の動向

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776. 世界商品市場価格の動向

4月に世界銀行が公表した世界商品市場見通しによると、2023年の商品価格は2022年に比べて全体的に21%低水準が予測されており、とりわけエネルギー価格は26%、農産品価格は7%、食料価格は8%、肥料価格は37%の下落が見込まれているとのことです。2023年第一四半期においては、世界の商品価格は14%下落、3月末までに2022年6月に記録した史上最高値を30%近く下回りました。経済活動の停滞、暖冬、そして世界的な貿易フローの再配分によって、ロシアのウクライナ侵攻後の価格上昇圧力を緩和しました。これら商品価格の全般的な下落にもかかわらず、肥料価格指標と食料価格指標はパンデミック前を超える水準にとどまっています。

ロシアによるウクライナ侵攻後の供給制約が歴史的な高水準をもたらしていた肥料価格についてもう少し見ていきます。報告書によると、2022年、肥料価格指標は18%下落、ただし2015-2019年平均値よりも高水準にとどまりました。

最近の肥料価格の下落は、とりわけ天然ガスから製造される尿素などの化合物肥料で著しく、2023年の第一四半期で36%下落しました。対して、リン酸二アンモニウム肥料(DAP)などの鉱物由来の肥料の同時期の価格下落は8%程度にとどまりました。

価格下落によって肥料の入手可能性は高まったものの、2022年前半の高価格やロシア・ベラルーシへの制裁に直面し、農家が需要を引き締めた結果、肥料施用量をしばし減らし続けることも予測されています。低いエネルギー価格と供給制約の緩和によって、もうしばらく肥料価格は下がることが予測されているとはいえ、尿素やDAP価格は2015-2019年パンデミック前の水準を超えており、歴史的に高水準が続いていることが農家にとっての負担となっています。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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