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24. 新型コロナウイルス・パンデミック ― 世界銀行報告:COVID-19の一次産品商品市場への影響

2020-04-26

2020年4月、世界銀行 (World Bank) は 商品市場見通し報告書を公表、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) が商品市場に与える影響を分析しました (April 2020 Commodity Markets Outlook - Implications of COVID-19 for Commodities) 。COVID-19パンデミックの拡大に伴い、過去3か月間に一次産品価格が暴落、とりわけエネルギー部門が最大の影響を被りました。以下、報告書とブログ (World Bank, April 23, 2020)の概要をまとめます。

世界中がパンデミックへの緊急対応を迫られる中、石油市場では封じ込み対策による需要の落ち込みを反映し、原油価格が史上最大の暴落を記録しました。また、COVID-19パンデミックによる世界的な産業需要の落ち込みを反映し、殆どのメタル価格も下落しましたが、今のところは世界金融危機の際の落ち込みほどには至っていはいません。

一部の穀類に関する記録的豊作や主要生産地域における好ましい気象条件を受け、今のところ、農作物価格は石油価格やメタル価格ほどの影響はまだ受けていません。例外的に、コメに関しては、アジアの幾つかの生産国による輸出規制の報告や天候不順により価格が上昇しました。全般的に、メイズと小麦に関する近年の豊作によりグローバル食料市場には潤沢な供給があり、在庫使用率(stock-to-use ratios)は歴史的に見ても高水準を維持しています。にもかかわらず、主要輸出国による規制の発表や輸入国の一部による「過剰excess」な購入の動きが見られ、これらが今後買い溜めにつながる可能性もあります。サプライチェーンの寸断により、商品市場を通じて、消費に占める食料支出の大きい低所得国における食料安全保障への影響も懸念されます。

経済成長鈍化の見通しにより今後しばらく商品需要の落ち込みが予想されます。世界銀行は、COVID-19による商品市場への影響を未だかつて経験したことのないショック(A Shock Like No Other)と表現しました。パンデミックの直接的な影響はその厳しさと期間(severity and duration)によりますが、今後、消費者行動の変化が働き方の構造的変化をもたらせば、商品市場需要の低迷を伴う巻き戻し不可能なグローバル・バリューチェーンの変化を伴うかもしれません。

 

参考文献

​World Bank The outlook for commodity markets, and the effects of coronavirus, in six charts.  April 23, 2020. https://blogs.worldbank.org/voices/outlook-commodity-markets-and-effects-coronavirus-six-charts

World Bank Group. 2020. Commodity Markets Outlook, April 2020. World Bank, Washington, DC. © World Bank. https://openknowledge.worldbank.org/handle/10986/33624 License: CC BY 3.0 IGO http://hdl.handle.net/10986/33624  

 

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)