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778. 日々の食事の健康・持続性インパクト
778. 日々の食事の健康・持続性インパクト
持続的な食料システム転換への努力は、主に、供給サイドや市場面での解決策が中心でした。一方、何を食べ、どのように調理するかも解決法の一つであるべきです。食料システム転換を目指すのであれば、日々の食の調達方法や消費、そしてそれらの健康・持続性への影響について理解を深めることは必須です。EATランセット委員会による、いわゆる「プラネタリー・ヘルス・ダイエット」はグローバルレベルで、人類および地球の健康にとって負荷の少ない植物性食品に基づく食生活の提案を行いましたが、世界の異なる地域において、文化的にも経済的にも現実的な食生活についての洞察も必要になってきています。
このたび、Nature Food誌に掲載された論文は、ノルウェー・イギリス・アメリカを対象とし、オンラインや人気の料理本に掲載された600の夕食レシピを分析しました。論文は、これらレシピは、対象国で推奨されている食生活のガイドラインとは対照的で、多くの国で奨励されている植物性食物の摂取に基づくベジタリアンやビーガンなどは殆ど含まれていなかったと指摘しました。ノルウェーやイギリスに比べ、アメリカのレシピは赤身肉をより含み、環境負荷や温室効果ガス排出が高いものである傾向がありました。
もちろん、レシピから実際の食生活および食生活の健康・環境インパクトを類推することには課題もあります。にもかかわらず、Nature Food誌の論考は、レシピを分析することで、世界の異なる文化的背景を抱える地域における食の調達および消費に関するインパクトについての洞察を得、食にかかわる習慣に介入するエントリーポイントとなる可能性を示したと評価しています。
(参考文献)
Clifford Astbury, C. Health and sustainability of everyday food. Nat Food (2023). https://doi.org/10.1038/s43016-023-00761-6
Angelsen, A., Starke, A.D. & Trattner, C. Healthiness and environmental impact of dinner recipes vary widely across developed countries. Nat Food (2023). https://doi.org/10.1038/s43016-023-00746-5
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)