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1092. 健康・持続的かつ文化的に適切な食生活

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1092. 健康・持続的かつ文化的に適切な食生活

 

我々の食料システムの環境インパクトを削減し健康を向上するうえで、食生活を変えることは最も重要なアクションの一つです。Nature Food誌の論説は、健康で持続的な食生活を推進するにあたり、対象地域の人々の文化的遺産・価値観・嗜好に配慮する必要があると論じています。

EATランセット委員会が地球にやさしい食生活・プラネタリーヘルスダイエット(Planetary Health Diet (PHD))を提唱してから5年以上が経ちます。PHDは植物性食品を中心とし、魚・肉・乳製品についてはごく少量を選択的に摂取することを推奨します。公表以来、この研究は非常に注目を集め、保健栄養および環境分野の政策策定者らに最も引用されてきました。中には批判もあり、多くの人々にとりPHDが経済的に入手困難であること、または文化的価値や消費者嗜好への配慮に欠いていることを指摘するものでした。

論説は、中国・ケニア・インドにおける地域ごとの文化的食生活とその健康・環境インパクトの違いに言及し、健康で持続的な食生活の普及には文化的にも受け入れられる必要性を述べました。

論説は、また、最近、食料システムをグローバルなアジェンダに押し上げた出来事についても評価しています。2023年ドバイで開催された国連COP28は食料システムの課題を気候アジェンダに位置付けることで、「フードCOP」とも称されました。一方、食生活の問題は、しばし「センシティブすぎる」「他人が何を食べるべきか指示知る権利はない」と、大っぴらに議論することがはばかれる傾向にありました。地域ごとに文化的に適切な食生活に関する議論の展開は、PHDと整合的で、持続的な食生活のシフトを促す最善の方法になるかもしれません。

 

(参考文献)
Loken, B., Dhar, M. & Rapando, N.P. Healthy and sustainable diets must be culturally acceptable too. Nat Food (2024). https://doi.org/10.1038/s43016-024-01042-6 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)


 

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