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463. COVID-19 のインパクト

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463. COVID-19 のインパクト

2019年12月から湖北省武漢市で原因不明のウイルス性肺炎の患者が相次ぎ発生し、中国で武漢がロックダウン開始された2020年1月23日から2年が経ちました。

COVID-19の感染は何度か波を繰り返してきましたが、昨年11月に南アフリカで最初に報告されたオミクロン変異株の感染力の強さか、ここのところ世界中で感染が急拡大、累積感染者数は3憶4000万人に達しました。 日本でも1月に入り急激に感染者数が増加し、1月22日には全国で5万人を超える感染者数が報告されています。

これまでのCOVID-19 による世界の死亡者数は557万人と報告されています。一方、1月18日のNatureの論説は、異なる専門家チームによる超過死亡率(Excess mortality 特定の母集団の死亡率が一時的に増加し、本来想定される死亡率の取りうる値を超過した割合)推計の研究に言及し、実際にCOVID-19で亡くなった人々の数ははるかに大きくなる可能性を示唆しています。論説は同時に、超過死亡率の推計の複雑さと難しさを指摘しています。その理由として、先進国間でさえ死亡率データの定義や集め方が国ごとに異なること、とくに低・中所得国ではデータ自身が信頼ある方法で集められておらず公表が遅れること、死亡率推計に伴う年齢調整が困難なこと(新型コロナでは高齢者の犠牲が多くなり、過去数年間の平均死亡率動向とは乖離があるため)、などの課題を挙げています。こうした推計法の課題等にもかかわらず、専門家は、COVID-19の人的被害の規模を推計する意義を訴えます。例えば、1918-20年のスペインかぜ等と比較してCOVID-19の人的被害の規模の推計を試みているチームもあります。また、低・中所得国の中にはCOVID-19での死亡率を非常に低く報告している国もあり、若年層の人口比率が高いために死亡率が低い国に対してはワクチン不要という説も一部流布する中、できる限りインパクトを評価する必要性もあります。

COVID-19が世界に拡散し始めて2年目となりますが、そのインパクトは人類の健康被害だけでなく、経済危機・社会格差の拡大を通じて地球規模に様々な影響を及ぼしています。1月21日、国連事務総長は、2022年の最大の優先事項として、科学に基づいて各国がCOVID-19拡散の抑止に全力を尽くすことを挙げ、昨年末まで40%に達したワクチン接種率を今年半ばまで70%を目指すとしました。ワクチン格差の解消をはじめとして、気候変動の緊急事態など地球規模課題に関する国際社会の連携と協調が求められます。 

(参考文献)
The pandemic’s true death toll: millions more than official counts. Nature. 18 January 2022  https://www.nature.com/articles/d41586-022-00104-8 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)