情報
戦略的な国際情報の収集分析提供によるセンター機能の強化
今日、グローバル・フードシステムは、気候変動や感染症といった地球規模の危機にさらされています。また、国際的に取引される農産物の需要・供給の不均衡が、グローバル・フードシステムを通じて瞬時に波及し、国・地域の経済パフォーマンスに影響を与え、社会格差の拡大をもたらす時代に突入しています。さらに今後開発途上国を中心に予測される人口増や都市化による食料消費の質・量的変化の加速は、食料供給・流通・需要の全段階に影響を及ぼし、食料栄養安全保障に不確実性をもたらすと考えられます。
政策・戦略策定者にとり、グローバルなアジェンダ・セッティングの場に参画していくためには、グローバル・フードシステムに関わる現状分析・将来動向についての最新の知見や科学に基づく戦略的議論について、体系的に整理された情報へのアクセスが不可欠です。また、研究者にとっても、地球規模課題解決のための研究課題を見極める上で、世界の科学技術ニーズに関する情報を常に更新する必要性が高まっています。
本プログラムでは、複雑化・多様化する開発途上地域の農林水産業と地球規模の食料システムに係る課題や開発ニーズに関する情報を多角的に収集・分析し、国内外に広く情報を発信し、オピニオン・リーダーとして、科学的知見に基づき地球規模課題の解決策について情報発信していくことを目指します。
そのため、以下の取り組みを行います。
- 戦略的情報収集分析提供プロジェクト【戦略情報】
- 研究成果の実用化と事業展開を実現する民間連携モデルの構築【実用化連携】
- サブサハラアフリカでの農業デジタル化推進に貢献するための研究開発可能性調査【農業デジタル化情報】
- 熱帯性作物の持続的生産に向けた遺伝資源の情報整備と利用促進技術の開発および国内外との連携強化【熱帯作物資源】
- みどりの食料システム基盤農業技術のアジアモンスーン地域応用促進事業【グリーンアジア】
研究成果情報
関連するJIRCASの動き
宮古地区さとうきび技術員会が熱帯・島嶼研究拠点を訪問
令和7年10月9日、宮古地区さとうきび技術員会の一行20名が、熱帯・島嶼研究拠点を訪問されました。同会は、宮古地区の製糖工場、さとうきび関連の市役所、県の普及課、JAなど、さとうきび生産に関係する職員で構成されており、地域のサトウキビ生産に関する情報交流や技術協議の場として活動しています。島外の生産地視察も積極的に行っており、今回の訪問は、八重山農林水産振興センター農業改良普及課の依頼により実現しました。
第11回九州アグロ・イノベーションに出展しました
令和7年9月17日(水)~9月18日(木)、マリンメッセ福岡B館で開催された「第11回九州アグロ・イノベーション―九州みどりの食料システムEXPO2025―」(主催:日本能率協会)に、国際農研は初めて出展しました。展示ブースでは、「農地からの土壌流出を軽減する部分深耕機&カットソイラ-」や「熱帯・亜熱帯地域向けアジアモンスーンモデル植物工場」など、共同研究の成果を紹介しました。
プレスリリース
関連するイベント・シンポジウム
アジアモンスーン地域における農林水産業技術の実装加速化
―生産力向上と持続可能な食料システム構築に向けた進展と展望―
- 場所
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一橋講堂(ハイブリッド)(101-8439 東京都千代田区一ツ橋2-1-2) 学術総合センター2階
- 場所
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TKPガーデンシティPREMIUMみなとみらい、ホールD(220-0012 神奈川県横浜市西区みなとみらい3-6-3 MMパークビル 5~6階)
現地の動き
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Pick Up
1370. 2025年気候報告書:危機に瀕する地球
2025-10-30 10月29日、BioScience誌にて、2025年気候報告書:危機に瀕する地球(The 2025 state of the climate report: a planet on the brink)が発表され、人為的な気候変動の影響が、もはや未来の脅威ではなく、今まさに現実のものとなっていることに警鐘を鳴らしました。 -
Pick Up
1369. 気候変動対策の現状
2025-10-29 世界資源研究所(WRI)等が編纂した気候変動対策の現状に関する最新の報告書「State of Climate Action 2025」によると、温室効果ガス(GHG)排出量の削減と炭素除去の強化に向けた世界的な取り組みは、パリ協定の気温目標を達成するために必要なペースと規模で実現できていません。以下、「気候変動対策の現状」報告書から、10の重要なポイントを紹介します。 -
Pick Up
1368. 持続的な水田稲作システムの可能性
2025-10-28 水田土壌では、水・土壌管理によって引き起こされる微生物を介した酸化還元サイクルのプロセスが土壌ミネラルと土壌有機物の動態を制御しているとされます。持続的な水田稲作システムの構築に向け、水田における収量を増加させながら温室効果ガス排出を同時に低減できる慣行についてのエビデンス、および、短期および長期的に特定の水田土壌を形成する生物地球科学プロセスについての知見が必要とされています。 -
Pick Up
1367. JIRCAS国際シンポジウム2025本日開催
2025-10-27 国際農研は、本日2025年10月27日(月)に一橋講堂(東京都千代田区)にて、13:30よりJIRCAS国際シンポジウム2025「アジアモンスーン地域における農林水産業技術の実装加速化 ―生産力向上と持続可能な食料システム構築に向けた進展と展望―」を開催します。 -
Pick Up
1366. 世界開発情報の日
2025-10-24 10月24日は「世界開発情報の日」で、情報を通じて貧困の削減や教育の普及、環境問題への取り組みの推進を考えるきっかけとなっています。来週月曜日10月27日に開催されるJIRCAS国際シンポジウム2025においては、アジアモンスーン地域における食料システム変革に向けた情報発信を推進してきた、グリーンアジアプロジェクトの成果を紹介、次のステップで取り組むべきニーズや他の地域に適用可能な教訓について議論します。
出張報告書
論文
2025
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Dechassa, Nigussie , Kubota, Osamu , Hughes, Jacqueline , Funaki, Yasuro , Stopponi, Gaia , Fortuna, Serena , Kazungu, Bob , Ono, Kaori , Mamo, Tadele , Hanai, Junichi , Nguyen Thi, Thanh Thuy , Iiyama, Miyuki (2025) Tailoring Science, Technology, and Innovation to Local Contexts while Advancing Global Agendas : Lessons from Multi-Country, Cross-Sectoral Approaches to Agri-Food Systems Transformation. Tailoring Science, Technology, and Innovation to Local Contexts while Advancing Global Agendas: Lessons from Multi-Country, Cross-Sectoral Approaches to Agri-Food Systems Transformation : UN Food Systems Summit +4 Stocktake (UNFSS+4) Side Event, https://doi.org/10.34556/0002000893
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Shiratori, Sakiko , Abeysekara, MG Dilini (2025) Relevance of Mathematical Optimization as a Tool for Diet Modeling in the Development of Food-Based Dietary Recommendations in Sub-Saharan Africa : A Scoping Review. Advances in Nutrition, 16 :100480-. https://doi.org/10.1016/j.advnut.2025.100480
20008941.9 MB
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Kuniyoshi, Daichi , Kishima, Yuji (2025) Fertile interspecific diploid hybrids between the Asian and African rice species facilitated by tetraploidization and its reduction. Theoretical and Applied Genetics, 138 :161-. https://doi.org/10.1007/s00122-025-04901-3
20008872.3 MB
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NAKAYAMA, Masakazu (2025) Manual for managing tomato cultivation in Asia Monsoon Plant Factory system (AMPF). , 0 https://doi.org/10.34556/0002000730
20007307.8 MB
2022
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国際農林水産業研究センター熱帯・島嶼研究拠点 (2022) パッションフルーツ簡易茎頂接ぎ木実施マニュアル&ウイルス病感染防止対策例. , https://doi.org/10.34556/0002000729