現地の動き - Pick Up

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    270. 途上国におけるより効率的な飼料生産技術の開発に向けて― サイレージ・発酵TMR調製マニュアル

    開発途上国の小規模農業システムにおいては、家畜は肉・乳といった動物性タンパク質の供給源であるだけでなく、エコシステムサービス・所得・資産・保険的な役割も果たしており、効率的な飼料生産技術の開発、耕畜連携システムの改善に関する研究が必要とされています。国際農研は、モザンビーク南部を対象として行った「アフリカ食料」プロジェクトで得られた畜産研究の成果に基づいて、サイレージと発酵TMRの調製法を理解し活用できる情報を提供するマニュアルを作成しました。

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    269. A Better World – 持続可能な開発のためのパートナーシップ

    気候変動や環境破壊に起因する感染症などに見舞われ混沌とする今日、国際社会が地球規模課題を解決するにはパートナーシップが欠かせません。イギリスのメディア組織であるThe Human Development Forumが公表した A Better World 2020年・第七版はSDG 17 (パートナーシップ)を特集しており、国際農研の国際共同研究パートナーシップの概要も紹介されました。

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    268. 新型コロナウイルス感染拡大が世界に与えた食料安全保障と栄養へのインパクト

    新型コロナウイルス感染症の影響は広範囲に及び、健康被害はもとより、雇用や所得への影響、教育機会の損失など、多くの負の影響が報告されており、SDGs達成見込みにも暗雲を立ち込めさせています。「農政調査時報」2021春号に寄稿された論考は、新型コロナウイルス感染症が食料安全保障・栄養に与えるインパクトが波及する複雑なシステム・チャネルとして、国際貿易における需給・備蓄ショック、サプライチェーンの寸断・混乱、また経済危機による所得減や格差拡大による食料入手手段の喪失、に言及しました。

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    267. より良い生活のためのデータ

    今日、様々なデータ情報が私たちの日々の生活に浸透しています。集められたデータは、当初の予想をはるかに超えた経済的・社会的価値を生み出す可能性を秘めている一方で、誤った利用による信頼の欠如など、多くの障壁も立ちはだかっています。世界銀行が最近公表した『世界開発報告2021(World Development Report 2021)』でも、データの有用性と有害性に対処するために、データへの公平なアクセスを確保し悪用されないようなデータガバナンスの必要性を訴えています。

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    266. 持続的な養殖業の発展に向けて

    日本、またアジアの国々の食と栄養にとり、持続的な水産業の発展は極めて重要です。そして持続的な水産業発展において、養殖業の役割が年々重要になってきました。2021年3月にNature誌にて公表された論文は、近年における内水面養殖セクターの規模・バリューチェーンの発展トレンドなどを指摘し、養殖業がグローバルフードシステムにより統合されていることを指摘しました。国際農研は、エビ養殖産業の安定化を図るための応用研究を行ってきましたが、この度、マーシー・ニコル・ワイルダー プロジェクトリーダーが、令和2年度日本水産学会賞を受賞しました。

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    265. サトウキビ白葉病の防除技術マニュアル

    サトウキビ白葉病は、タイを中心にアジア各地のサトウキビ生産国で大きな被害を出しているサトウキビの虫媒伝染病です。国際農研では、本病の対策として、健全種茎の生産・配布法を中心とする防除技術マニュアルを作成し、タイに所在する研究協力機関であるサトウキビ・砂糖委員会事務局から発行しました。

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    264. 高解析度のアフリカ土壌マップ

    アフリカの多くの国々において、農業生産性の改善には、土壌肥沃度の十分な理解とその土壌情報に基づいた肥培管理技術の確立が必要です。近年、アフリカの土壌肥沃度調査の多量なデータのとりまとめを通じ、土壌肥沃度のデジタル地図の作成が進んでおります。今回、Scientific Reports誌で発表された30m解析度の新たな土壌マップには、国際農研・CGIARとともに共同研究を行っているチームの研究者らも貢献しました。

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    263. NASA、人類による活動が地球のエネルギー収支を改変しているエビデンスを確認

    国際社会は、産業化以来の気温上昇をできる限り1.5℃以下に抑えるために、温室効果ガスの排出を抑制するための行動を起こすことが求められています。そのためには、人類による経済活動に伴う温室効果ガスが気候変動にどのような影響を及ぼしているのかをモニタリングする必要があります。2021年3月、NASAは、人類による活動が、太陽光からのエネルギーが宇宙空間に放出されているのを妨げており、地球のエネルギー収支(energy budget)を改変していることを確認したと発表しました。

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    262. 災害の農業・食料安全保障へのインパクト

    災害が農業に及ぼす最大かつ直接の影響は作物・畜産生産量の減少であり、農民への経済ロスにとどまらず、バリューチェーンを通じ、その影響はセクター・経済全体に及びます。2021年3月、国連食糧農業機関(FAO)は、災害の農業・食料安全保障にもたらすインパクトをとりまとめた報告書を公表、自然災害の頻度と強度が増している状況がニューノーマル化している事態に警鐘を鳴らしました。

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    261.スーパー作物キヌア - 食料・栄養問題解決にインパクトを与えるキヌア研究

    国際農研では、栄養バランスに優れ、世界中でスーパーフードとして人気が高まっている南米アンデス原産のキヌアを用いた研究を行っています。キヌアは干ばつなどの過酷な環境でも栽培できることから、国際連合食糧農業機関(FAO)は、世界の食料・栄養問題解決の切り札になり得る作物として注目しています。

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    260. グローバル化社会における人類の活動と生物圏

    2021年3月22日、プラネタリー・バウンダリー概念の提唱者である Johan Rockström博士も共著者として参加した論文が公表され、新型コロナ・パンデミックや気候変動・生物多様性喪失といったシステムレベルでの攪乱が起きている現状を人為的な要因にもとめました。論文は、持続的でレジリエントなグローバル社会を構築する上で、経済活動の在り方を見直し、生物多様性を支える生物圏維持の重要性を訴えています。

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    259. 海面上昇による洪水リスク

    3月23日は世界気象デーであり、2021年は「持続可能な開発のための海洋科学の10年」の開始を記念して「海洋と私たちの気候・天気」をテーマとしています。 世界気象機関(WMO)によると、海洋は地球の表面の70%を占め、世界の気象と気候に大きな影響を及ぼしています。また、海洋は世界貿易流通経路の90%を占め、人類の40%が海岸から100㎞以内に居住することから、世界経済を支えています。しかし温暖化は、氷河溶解と水温上昇に伴う体積拡張による海面上昇をもたらすとされ、海岸地域の人々の生活を脅かしています。

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    258. 世界水の日

    3月22日は、「世界水の日(World Water Day)」です。1992年にブラジルのリオデジャネイロで開催された地球サミット(環境と開発に関する国際連合会議)で提案され、翌1993年に国連総会で定められた国際デーで、加盟国に対して、この日に各国で活動を企画するよう薦めています。農業は世界の取水量の70%以上を占めており、農業において淡水と雨水をより生産的かつ持続可能に利用することができなければ、SDGsは達成できません。

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    257. 国際森林デー(International Day of Forests)

    今週末の3月21日は国際森林デーです。国連はこれまでに1985年と2011年を「国際森林年」と定めて、世界的な森林の減少・劣化への対応や森林を持続可能な形での管理のために様々な活動をしてきました。2回目の国際森林年の翌年2012年には、毎年3月21日を世界で森林や樹木に対する意識を高める記念日として国際森林デーを定めました。2021年のテーマは「森林の回復:復元と幸福に向けて(Forest restoration: a path to recovery and well-being)」です。

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    256. 温暖化による熱帯地域での生存限界気温上昇

    近年の夏は激しい暑さに湿度も加わり、不快感が増しているように感じます。温度と湿度の双方を考慮し、人間の健康に影響を及ぼす指標として、湿球温度(wet-bulb temperature)という概念があります。人類にとっての生存の限界の暑さは湿球温度35°Cとされますが、とりわけ人口増が予測されている熱帯地域にとっての懸念問題です。

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    255. 地球温暖化によって四季の長さが変わる

    日本人にとり桜の開花などの植物の変化は四季を感じるバロメーターですが、気候変動は四季にどのような影響を及ぼすのでしょうか。1950年代には、北半球において毎年予測可能な範囲で四季が巡ってきました。しかし気候変動は季節の長さと開始日を大幅に狂わせるようになっています。Geophysical Research Letters誌で公表された論文は、気候変動対策が十分なされない場合、2100年までに北半球において夏が極端に長くなる一方冬が短くなる状態になりかねず、農業、人々の健康、環境に大きな影響を及ぼしうると警鐘を鳴らしました。

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    254. 栄養問題と栄養素についての紹介

    人間が生きていくために、また健康な生活を営むためには、必要な栄養素を外部から摂取する必要があり、それは殆どの場合食料を通して得られます。そして、食料を効率的に得るために人為的に生み出されたシステムこそが農業であり、農業の本質的な役割とは栄養を供給することであるとも言えます。農業と栄養とはリンクしているという前提を踏まえて、栄養問題と栄養素に関して簡単に紹介します。

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    253. 2020年のエネルギー関連CO2排出量

    2021年3月2日に公表された国際エネルギー機関(IEA)の報告によると、2020年の世界のエネルギー関連のCO2排出量は、5.8%(約20億トン)減少しており、これは第二次世界大戦以降で最大の年間減少率で、絶対量としては過去最大でした。一方で、その後排出量はCOVID-19パンデミック以前のレベルにまで戻っており、2020年12月のCO2排出量は前年同月と比べると2%の増加に転じました。

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    252. エチオピア高原における、ため池土砂を活用した農地造成技術の開発


    サブサハラアフリカの多くの地域では、農地の拡大と薪炭材確保のための森林伐採を契機に、土壌侵食を始めとする土地劣化が拡大し、農業や農村の生活環境にも大きな影響を与えています。また、増加する人口に対応する食料増産には土壌水分の保持が重要ですが、灌漑設備は十分ではなく、雨水の有効利用が求められています。国際農研は、エチオピア高原地域のプロジェクトサイトにて、現地の大学や地方政府と連携しながら、土砂流入の問題を抱えるため池の機能回復と土砂を活用した農地造成技術を開発しました。

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    251. COVID-19パンデミック宣言から1年

    2021年3月11日は東日本大震災から10年目、また世界保健機関(WHO)がCOVID-19をパンデミックと宣言した日から1年目にあたります。多くの人命が失われただけでなく、感染拡大を抑制するための移動規制措置は、我々の生活、仕事、移動、社会関係に地殻変動的なシフトをもたらしました。これらの変化は人為的な温室効果ガス排出を一時的に削減したものの、その中長期的な影響は限定的で、カーボンニュートラルに向けて各国はより野心的な気候変動緩和策を講ずる必要があります。