現地の動き - Pick Up

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    300. 人新世(Anthropocene)概念の展開

    このPick Up企画も、今回で300記事目になります。今回は、昨今のフードシステム議論でもよく聞かれるようになった「人新世(Anthropocene)」概念を整理した論文を紹介します。2000年にこの概念に最初に言及したのはノーベル化学賞受賞者であるPaul Crutzenで、人類が地球に及ぼす影響が新たな地質時代を形成するに足るという議論がはじまりでした。今日、地球科学では人新世は20世紀半ば・1950年来の「グレートアクセラレーション」と結び付けられる解釈が一般ですが、美術・人文科学では広義の解釈がなされているようです。
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    299. 地球規模の気温上昇や氷山に関する最近の話題

    今月、アメリカ航空宇宙局(NASA)が公開した映像は、地表の気温が1950年以来上昇し、異常に暑い日が多く、寒い日々の頻度が少なくなっている傾向を示しました。一方、南極では、パリの40倍の大きさに相当する最大級の氷山A-76 が漂流をはじめたことが確認されました。

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    298. 国際生物多様性の日 -私たち自身が解決の鍵-

    5月22日は国際生物多様性の日で、生物の多様性が失われつつあること、また、それに纏わる諸問題に対する人々の認知を広めるために国連が制定した記念日です。2021年のテーマは『私たち自身が解決の鍵 “We’re part of the solution #ForNature”』。これまでに取り上げた生物多様性に関するPick Up記事をまとめ、生物多様性について皆さんと考えてみたいと思います。
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    297. 子どもの栄養不良についての共同報告書

    ユニセフ、世界保健機関(WHO)、世界銀行は共同で、5歳未満の子供たちの栄養不良に関する世界および地域ごとの推定値を毎年更新しています。今月、2021年版の報告書が発表されました。近年、発育阻害は急速に減少していますが、2030年の目標に到達するには更に減少速度を加速する必要があります。また今回の推定値は新型コロナウイルスパンデミックの影響を考慮したものではなく、今後あらゆる形態の栄養不良の悪化が予想されます。

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    296. 気候変動が農業にとっての安全な活動領域に及ぼしうる影響

    2021年5月、OneEarth誌に公表された論文は、最悪の気候変動シナリオのもとで、世界の食料生産の3分の1に相当が、農業生産に適した安定的な気候空間からはみ出てしまう可能性を発表しました。最も脆弱であると予測されるのは、南アジア・東南アジア、アフリカのスーダンサヘルゾーンなど、気候変化へのレジリエンスがもともと低い地域です。
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    295. 5月18日は「国際植物の日」

    欧州植物科学機構(EPSO; European Plant Science Organisation)が世界のみんなで植物のたいせつさを考える日として2011年秋に提唱し、2012年から毎年5月18日を国際植物の日に定めました。
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    294. フードシステムのダブルピラミッド:健康に良い食品は地球にもやさしい

    バリラ食品栄養センター(Barilla Center for Food&Nutrition、パスタで有名なイタリアのバリラ社グループのシンクタンク)は、フードシステムの「ダブルピラミッド」を考案しています。このモデルは、健康と気候のピラミッドを並べて配置することで、健康に良い食品と、環境負荷の低い食品は似通っていることを示し、環境や気候変動に対する食品選択の影響を減らすことを目的としています。

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    293. JIRCAS-FFTC国際イネいもち病ワークショップのプロシーディング公表

    いもち病害は、熱帯から温帯までイネが栽培されるすべての地域で発生し、最も被害が大きい重要病害の一つです。2020年9月18日、国際農林水産業研究センター(国際農研:JIRCAS)と台湾にあるアジア太平洋食糧肥料技術センター(FFTC)は、「JIRCAS-FFTC国際イネいもち病ワークショップ」を共同開催、日本、台湾、タイ、ベトナム、韓国、インドネシア、フィリピン、バングラデシュ、マレーシア、インドなどからの116名の参加者がありました。このたび、ワークショップにおける発表を論文集にまとめたプロシーディングが公表されました。
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    292. 『グローバル・メタン・アセスメント』地球温暖化防止のためのメタン排出量削減のメリットとコスト

    2021年5月に公表された、短寿命気候汚染物質削減のための気候と大気浄化の国際パートナーシップ(CCAC)と国連環境計画(UNEP)による報告書『グローバル・メタン・アセスメント』によると、人間活動に起因するメタンガスの排出量は、10年間で最大45%削減することができ、その結果、気候変動に関するパリ協定に沿って世界の気温上昇を1.5℃に抑えることができるとしています。
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    291. 技術的イノベーション解決策のみに頼るアプローチの限界

    2021年4月、Nature Food誌の論説は、食料安全保障と持続性を達成する上で、技術的イノベーション解決策のみに頼るアプローチの限界を指摘し、伝統的知識や行動変容の必要性について論じました。
     
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    290. 世界食料政策報告書2021:新型コロナウイルスパンデミック後のフードシステム変革

    4月、国際食糧政策研究所(IFPRI)から2021年世界食料政策報告書(Global food policy report)が出版されました。副題は新型コロナウイルスパンデミック後のフードシステム変革についてです。食料政策の専門家たちが、特に貧困層や脆弱層に対してのパンデミックや政策対応の影響を調査することで、健康的で強靭で効率的で持続可能で包括的なフードシステム変革に向けて、データに基づくエビデンスを示し政策提言を行っています。
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    289. 米国における気温・降雨量のニューノーマル公表

    新型コロナパンデミックが生活のあらゆる側面に影響を与える中、ニューノーマル(新しい通常・平常・日常)という用語がニュースでも盛んに話題になりました。気象界でのニューノーマルは、30年間の気温や降雨量の平均値や統計値をもとに10年ごとに更新されるデータセットを指すそうです。これらデータセットは日々の気候関連の意思決定を適切なコンテクストで行うことを可能にします。5月4日、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、1991-2020年の30年間の気候ノーマル(Climate Normals)データセットを公表、米国全体でより気温が高く、降雨量が増加する一方で、空間・季節的に大きな差異が観測されたと報告しました。
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    288. 貧困削減における資源安全保障の重要性

    2021年4月にNature Sustainability誌で公表された論文は、貧困撲滅における資源安全保障の重要性を論じました。自然資源に対する人類の需要は、地球の生物学的な回復スピードを次第に上回るようになり、バイオマスを再生するエコシステムの能力-環境収容力(biocapacity)が人類の経済とっての物質的な制約になっています。2017年時点で、世界の多くの人々(72%)が、生物学上の資源の供給が需要に満たない国に暮らしており、低所得国は、エコロジカルな貧困の罠にとらわれています。
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    287. 気候変動サミットへ向けたモーメンタム

    2021年4月下旬、バイデン政権が主催した気候変動サミットにおいて、多くの国が温室効果ガス削減目標値を更新しました。各国による温室効果ガス排出削減目標をもとに、気温上昇抑制効果の推計を行う研究者グループによって運営されているClimate Action Trackerによると、最近のコミットメントを考慮すると、21世紀末までの気温上昇を2.4℃に抑制しうるが、パリ協定の1.5℃ゴールにはさらなる温室効果ガス排出削減が必要であるとしました。
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    286. フードシステムと科学技術

    2021年4月26-28日、オンラインでノーベル賞サミット「Our Planet, Our Future」が開催され、科学者らが気候危機・生物多様性危機の解決にアクション・連携の重要性を訴えました。先日、科学技術週間に合わせて開催された国際農研の一般公開にて行われたミニ特別講演では、20世紀以来のフードシステムと科学技術の展開を踏まえ、プラネタリー・ヘルスのために必要なアクションを解説しています。
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    285. アフリカのイネ生産における低投入、貧栄養土壌の問題点、およびその改善策

    アフリカでは極めて狭い地域内でも地形や土壌条件の差が大きく、地域内で推奨される一定の施肥量に対する収量の応答に大きなばらつきを生み出し、肥料の利用効率を下げています。これに対し、近年ではドローンなどリモートセンシング技術を活用し、地域内での土壌条件の違いを低コストで判別することで、ピンポイントで適切な施肥を実施するための意思決定ツールの開発も試みられています。2019年にPlant Production Science誌で発表された論文は、アフリカのイネ生産における肥料投入力の不足と貧栄養土壌の問題点、およびその改善策を総説し、このたび「第18回日本作物学会論文賞」を受賞しました。
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    284. 野菜と果物:科学者グループから国連食料システムサミットへのインプット

    今年9月、国連食料システムサミットがニューヨークで開催されます。そのサミットに向けてのプロセスをサポートする一つの仕組みとして、科学者グループ(scientific group)が設置されています。先月、この科学者グループから「健康な食事のための野菜と果物:フードシステムの研究と行動の優先事項」と題した論文が発表され、野菜と果物をより入手可能で、アクセスしやすく、望ましいものにするためにフードシステムができるアクションについてとりまとめています。
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    283. WeRise-季節予報を使った天水稲作向け意思決定システム

    お米は世界3大穀物の一つで、世界の半分近くの人口を養う重要な食料ですが、熱帯地域の生産地の大半は天水条件であり、単収は灌漑稲の半分ほどであり、単収を上げるためには水と養分供給の問題を克服しなければなりません。国際農研では、農林水産省による拠出金を通じた国際共同研究事業により2010年から国際稲研究所とWeRiseに関する開発研究、技術実証を行ってきました。このたび、アジアでのWeRiseの実証試験結果をAgriculture誌に公表、天水稲作農家の営農計画改善を可能にすることを示しました。
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    282. 2020年気候変動のハイライト

    2021年4月22日、アメリカ・バイデン大統領主催の気候変動サミットに合わせ、日本政府も大幅な温室効果ガス排出目標を表明しました。その数日前には、世界気象機関(WMO)が 2020年世界気候変動白書(State of the Global Climate 2020)を発表、2020年は人為的な気候変動によってもたらされた異常気象などによって人々の生活が大きく影響を受けた年であったことを強調しています。

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    281. アースデイに考える:世界を救う奇跡の作物 ―キヌアの可能性

    本日4月22日は、地球の日(アースデイ)。地球環境について考える日として提案された、国際的な記念日です。国際農研が取り組む、世界の地球環境問題、食料問題の解決を目指した奇跡の作物”キヌア”の研究について、動画で紹介します。