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609. 2100年までに極めて危険な熱波の頻度が高まる可能性

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609. 2100年までに極めて危険な熱波の頻度が高まる可能性

今日から9月に入りましたが、そろそろ暑さもひと段落してほしいところです。それにしても、今年は6月に東京で観察された熱波だけでなく、世界の様々な地域で熱波や干ばつのニュースが報道されていました。 気候変動によって、こうした異常ともいえる熱波は今後も増えていくのでしょうか。

Communications Earth & Environment誌に公表されたワシントン大学とハーバード大学による研究によると、気候変動対策の進捗によっては、今世紀末までに極めて危険な熱波の頻度が高まる可能性があるそうです。 

論文は、人体へのインパクトを測る指標として大気の気温と湿度をあわせた、’heat index’に着目しました。 「危険な dangerous」heat index は 103°F (39.4°C)、人間にとって一時であっても「極めて危険な extremely dangerous」 heat indexは124°F (51°C)とされています。論文の著者によると、こうした指標は、もともとボイラー室など屋内で作業をする人々のための指標で、屋外の環境では想定されていませんでしたが、今や現実に観察されるようになっています。

論文の統計的推論よると、パリ協定のもと温暖化を2℃に抑制したとしても、「危険な」heat indexにさらされる可能性は、熱帯地域の多くで50-100%上昇し、中緯度地域では3-10倍に上昇するだろう、としています。熱帯・亜熱帯において、1979-1988年の間、危険なheat indexに達したのは年平均15%以下でした。2050年までにこうした地域では人口増のためにより多くの人口を抱えることが予測されていますが、毎年25-50%の日々を熱波に晒され、最悪のシナリオでは2100年までに一年中殆どの日で熱波が観測される可能性もあるとされます。とくにサブサハラアフリカ、アラビア半島、インド亜大陸では多くの地域で極めて危険な熱波が日常化する恐れもあります。中緯度地域では、危険な熱波に晒される日が年間15-90日に達する可能性もあります。


アメリカの非営利団体First Street Foundationが発表した別の研究では、2053年までに、アメリカで1億人以上が「極めて危険な extremely dangerous」 heat index:125°F (52°C)の熱波に覆われる "extreme heat belt" 現象を予測しているそうです。
 

これら論文は、気候変動緩和の必要性と同時に、屋外作業を行う人々、とくに農業従事者への安全対策を喚起しますが、熱波日数の増加が予測される地域での農業生産への影響も懸念されます。

 

(参考文献)
Lucas Vargas Zeppetello, Probabilistic projections of increased heat stress driven by climate change, Communications Earth & Environment (2022). DOI: 10.1038/s43247-022-00524-4. www.nature.com/articles/s43247-022-00524-4

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)