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173. 気候変動と農地拡大・都市化による土地利用変化は2100年までに種の生息環境を大幅に縮小しかねない

 

生物種の絶滅危機に対する脆弱性は、それぞれの種の地理的分布(レンジrange)規模に依存します。したがって、効果的な保全戦略の策定には、世界の生物種の生息環境が過去どのように変化し、そして今後の気候変動や農業・都市化による土地利用変化シナリオ次第でどう影響を受けるのかについての理解が必要です。Nature Communicationに公表された論文は、1700年来のグローバル土地利用・生物群系パターンを再構築し、2100年までの16の気候・社会経済シナリオに基づき、16,919種の哺乳類・鳥類・両生類の生息環境の時間的変化を地図化しました。著者らの推計によると、これまで、生物種は平均で18%の生息環境分布域を失っており、2100年までに23%失いかねないとしました。著者らのデータは、とりわけ熱帯地域における生物多様性ホットスポットでの土地利用変化の長期的増加傾向により、生息環境の破壊規模に比べて相対的に大きな生息環境分布域が失われていることを示しました。著者らは、将来の生物多様性保全のために、政策便益費用分析に基づいて早急なアクションの必要性を訴えました。

11月10日におこなわれた国際農研50周年記念シンポジウムにおいても、パンデミックを回避するにあたり、生物多様性保全の重要性について触れられ、そのために熱帯・亜熱帯地域において、農業による土地利用変化を最小化し、エコシステム・環境保全を最大化するための、持続的農業集約化のための技術開発・普及の必要性について議論されました。

参考文献

Robert M. Beyer & Andrea Manica.  Historical and projected future range sizes of the world’s mammals, birds, and amphibians. Nature Communications (2020). DOI: 10.1038/s41467-020-19455-9 https://www.nature.com/articles/s41467-020-19455-9

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)