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611. 2022年8月 世界食料価格動向
611. 2022年8月 世界食料価格動向
国連食糧農業機関(FAO)は、9月2日、世界食料価格動向を公表しました。2022年8月の値は平均138.0ポイントで7月よりも1.9%低く、史上最高値を記録した3月から5か月連続で下落しましたが、1年前の水準からは10.1ポイント(7.9%)高水準にとどまりました。世界食料指標を構成する5つの全ての指標は8月に若干下げ、その下げ幅は穀物の1.4%から植物油の 3.3%でした。
穀物価格は昨年よりも11.4%高水準なものの、7月にくらべて1.4%下落しました。とりわけ、世界小麦価格は8月に5.1%下げ、3カ月連続の下落となりましたが、カナダ・アメリカ・ロシアでの生産状況に関する見込みの改善、北半球での季節的な在庫回復、そしてウクライナの黒海地域から5カ月ぶりに輸出が再開されたこと、を反映していると考えられます。それでも、小麦価格は昨年8月よりも10.6%高い水準を維持しています。対するメイズ価格は、EUやアメリカの高温・乾燥状況による収量落ち込みの見込みを反映し、1.5%と若干上昇しました。
植物油価格は、3.3%下落し、163.3ポイントと、年初よりも低い水準になってきました。この背景には、需要の落ち込みと主要国からの十分な輸出の見込みを引き続き反映したパーム油・ヒマワリ油等の国際価格の下落があります。他方、大豆価格については、アメリカでの気候条件のインパクトへの懸念を反映し、若干上昇しました。
全般的に食料価格はピークから下げてきていますが、前月からの下落率が7月に比べて8月で小幅にとどまっている(8月vs.7月の下落率:食料価格指標1.9% vs 8.6%、穀物指標1.4% vs 11.5%、植物油価格3.3% vs 19.2%)裏には、ここ数カ月のアメリカ・EUでの熱波・干ばつのメイズやダイズ収量への懸念の影響があるようで、今後も食料需給動向の注視が必要です。
(文責:情報プログラム 飯山みゆき)