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679. 2022年11月 世界食料価格動向 

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679. 2022年11月 世界食料価格動向

国連食糧農業機関(FAO)は、12月初旬、世界食料価格動向を公表しました。2022年11月の値は平均135.7ポイントで、植物油と砂糖を除き殆どのサブ指標は月レベルでの下落を示し、植物油と砂糖の価格上昇を相殺し、全体的に殆ど変動はありませんでした。これは、1年前の2021年11月からは僅か0.3%高い水準でした。

穀物価格は11月に150.4ポイントの値をつけ、これは10月よりも1.9ポイント(1.3%)低いものの、昨年10月よりも9.0ポイント(6.3%)高い値です。国際小麦価格は、ロシアが黒海イニシアチブに戻り、合意が延長されたこともあって、11月に2.8%下落しました。国際メイズ価格に関しても、黒海イニシアチブ延長を受け、1.7%下落しました。国際コメ価格は、アジア輸出国の通貨価値が対米ドルで上昇したこと、および購買意欲を受けて、2.3%上昇しました。

10月まで数カ月連続で下落傾向であった植物油価格は、11月に154.7ポイントと前月より3.4ポイント(2.3%)上昇しました。この背景には、国際パーム油・ダイズ油価格の上昇が、なたね油・ヒマワリ油の見積価格の下落を相殺したことが挙げられます。11月にパーム油価格が上昇したのは、その他の食用油に対して相対的に競争的な価格水準になったことで需要が増えたことと、東南アジア生産国の一部における多雨を受けた生産下落の見込みが背景にあります。ダイズ油の上昇は、アメリカにおけるバイオディーゼル部門の堅調な需要を反映しました。対照的に、黒海イニシアチブの延長を受け、国際ヒマワリ油価格は下落しました。

 

国際価格はこのように一時に比べ落ち着きを見せていますが、世界的に国内食料価格のインフレが報告されています。12月1日付の世界銀行の食料安全保障アップデートによると、2022年7月から10月の間、84.2%の低所得国、93%の低位中所得国、93%の高位中所得国で5%を超える高インフレが報告され、2桁を超えるケースも少なくありませんでした。高所得国でも85.5%が高インフレを被りました。実質ベースで、データが入手可能な163か国の89.6%で、食料価格のインフレが全体の消費価格のインフレを上回りました。


こうしたトレンドは、脆弱な社会層の食料安全保障を引き続き脅かすことが懸念されます。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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