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917. 2023年11月 世界食料価格動向

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917. 2023年11月 世界食料価格動向 

 

国連食糧農業機関(FAO)は、12月8日、世界食料価格動向を公表しました。2023年11月の値は平均120.4ポイントで、前月と同水準にとどまり、前年比で14.4ポイント(10.7%)低い値をとりました。植物油・乳製品・砂糖価格指標の上昇を、穀物・食肉価格指標の下落が相殺しました。

穀物価格指標は11月に121.0ポイントと、前月比で3.0%下落、前年比で19.4%下低い水準でした。ウモロコシ・ソルガム・オオムギ・ライムギなどの粗粒穀物価格は全体的に下落し、前月比で5.6%減となりました。この下落は、アルゼンチン農家からの販売増加とアメリカにおける生産状況の上方見直しによる季節的な供給増を背景とした世界メイズ価格の急落を反映しています。国際小麦価格も、アルゼンチンやオーストラリアからの季節的な供給増とロシアからの競争圧力を受け、11月に2.4%下落しました。一方、FAOの全コメ指標は、生産国・市場セグメント間の対照的な価格動向を反映し、全体的に安定的に推移しました。

植物油価格指標は10月まで3カ月連続で下落したあと、11月に前月比で3.4%上昇しました。この上昇の背景には、パームオイルとヒマワリ油価格指標の上昇が大豆価格の下落を相殺したことがあります。国際パームオイル価格は主要輸入国からの積極的な購入に対し主要生産国での季節的な供給不足によって前月比で6.0%上昇した一方、国際大豆価格はブラジルでの生産減見込みにもかかわらず国際的な需要低迷を反映して若干下落しました。

11月、砂糖価格指標は161.4ポイントと、前月比で1.4%、前年比で41.1%高い水準をとりました。この上昇の背景には、タイとインドという二つの主要輸出国におけるエルニーニョと関連した乾燥状態を受けた生産減見通しを受け、世界的に輸出が不足するかもしれないという懸念を反映しました。さらに、ブラジルからの輸送の遅れ・米ドルに対する通貨レアル高傾向も国際砂糖価格の上昇に貢献しましたが、ブラジルにおける好調な生産と低い国際原油価格が価格上昇圧力を抑制しました。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)


 

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