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792. 2023年5月 世界食料価格動向

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792. 2023年5月 世界食料価格動向

国連食糧農業機関(FAO)は、6月3日、世界食料価格動向を公表しました。2023年5月の値は平均124.3ポイントで、前月から3.4ポイント(2.6%)と下落、一年前の2022年3月につけた史上最高値から35.4ポイント(22.1%)低い水準となりました。5月の下落は、植物油・穀物・乳製品価格指標の大幅な下落を反映、ただし一部の下落は砂糖・食肉価格の上昇によって相殺されました。


穀物価格は5月に129.7ポイントの値をつけ、これは4月よりも6.5ポイント(4.8%)下がり、史上最高値をつけた一年前よりも43.9ポイント(25.3%)低い値です。国際小麦価格は、2023・24年期の好調な世界供給見通しと黒海穀物イニシアチブの延長を受け、前月比で3.5%下落しました。世界メイズ価格もブラジルと米国という2大輸出国における2023・24年期の収穫見通しにより供給改善が期待されていることを反映し、9.8%下がりました。アメリカからの輸出の遅延や中国の購入キャンセルも世界メイズ価格下落圧力となりました。対照的に、アジア向け輸出契約の実行とベトナムやパキスタンにおける輸出供給の引き締めを受けて、国際コメ価格は上昇しました。

植物油価格指標は4月に118.9ポイントと、前月比で11.3ポイント(8.7%)下落、年初当初よりも48.2%低い値をつけました。国際パーム油価格は国際的な需要の低迷と主要生産国での生産増の見込みを受け4月から大幅に下落し、大豆価格もブラジルの好調な生産とアメリカにおける予想以上の在庫の積み増しによって6カ月連続で下落しました。

乳製品価格指標は前月比で3.2%下落する一方、食肉価格指標は1.0%上昇、後者は4か月連続での上昇ですが、1年前に比べて4.1%低い水準です。

砂糖価格指標は5月に157.6ポイントと、4月から8.2ポイント(5.5%)上昇、4カ月連続の上昇で1年前の37.3ポイント(30.9%)高い値をとっています。エルニーニョ現象展開にまつわる不確実性への懸念が2023・24年需給見通しへの不安感を与え、2022・23年の供給が予想を下回ったことも価格上昇につながっています。ブラジルからの輸送に関してダイズ・トウモロコシとの競争も価格上昇圧力となる一方、ブラジルの2023収穫予測が悪くないこと、また原油価格の低迷が、価格上昇のエスカレートを抑えています。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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