Pick Up

816. 2023年6月 世界食料価格動向 

関連プログラム
情報


816. 2023年6月 世界食料価格動向

国連食糧農業機関(FAO)は、7月7日、世界食料価格動向を公表しました。2023年6月の値は平均122.3ポイントで、前月から1.7ポイント(1.4%)下落、2022年3月につけた史上最高値から37.4ポイント(23.4%)低い水準となりました。6月の下落は、砂糖・植物油・穀物・乳製品価格指標の大幅な下落を反映する一方、食肉価格は殆ど変動しませんでした。

穀物価格は6月に126.6ポイントの値をつけ、これは5月よりも2.7ポイント(2.1%)下がり、一年前よりも39.7ポイント(23.9%)低い値です。ほとんどの穀物価格指標は下落しましたが、メイズの五カ月連続の下落は、アルゼンチンとブラジルからの順調な供給を反映し、干ばつへの懸念があったアメリカでも主要生産地で月末に降雨があったことでメイズ市況を緩和しました。北半球での収穫がはじまった小麦の国際価格も下落し、とくに6月に輸出税を引き下げたロシア連邦からの供給やアメリカでの好調な作況が価格下落圧力となりました。コメに関しても、非インディカ米の需要が収まり、パキスタンからの輸出売り上げの努力もあって、国際価格は下げました。

植物油価格指標は6月に115.8ポイントと、前月比で2.9ポイント(2.4%)下落、年2020年11月以来低い水準を記録しました。パーム・ヒマワリ油の低価格が、ダイズ・なたね油の価格上昇を相殺した形です。2カ月連続でパーム油価格が下落した背景には、主要生産国からの季節的な供給の見込みと長引く国際需要の低迷が重なったことが指摘されています。対照的に、国際ダイズ・ナタネ油の上昇は、主要生産地における天候不順状況を反映しました。

乳製品価格指標は前月比で1.0%下落、食肉価格指標は前月からほとんど変わりませんでした。

砂糖価格指標は5月まで4カ月連続で上昇後、6月に152.2ポイントと、前月比で5.1ポイント(3.2%)下落しました。この下落はブラジルからの供給見込みと世界的な需要低迷を反映しましたが、2023・24年期のエルニーニョがサトウキビ作況に与える影響やブラジル通貨の対米ドルでの価値上昇などの懸念が、さらなる下落を抑制しています。実際、国際砂糖価格は昨年の同月に対し、34.9ポイント(29.7%)高い水準をとっています。

 

一方、黒海穀物イニシアチブの期限が切れる7月17日まで一週間となりました。国連に加え、仲介役を買って出ているトルコのエルドアン大統領は、プーチン大統領に少なくとも3か月合意延長するように訴えかけてると伝えられています。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

関連するページ