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835. 2023年7月 世界食料価格動向

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835. 2023年7月 世界食料価格動向

 

国連食糧農業機関(FAO)は、8月4日、世界食料価格動向を公表しました。2023年7月の値は平均123.9ポイントで、前月から1.5ポイント(1.3%)上昇しましたが、前年同月につけた値より16.6ポイント(11.8%)低い水準です。7月、植物油価格が高騰した一方、砂糖価格の大幅な下落によって相殺されました。

植物油価格指標は7カ月連続で下落していましたが、7月に12.1%急騰しました。とくにヒマワリ油は、7月17日にロシアが黒海穀物イニシアチブから離脱したことによる不確実性が決定打となり、15%上昇しました。国連が仲介してきたイニシアチブ、および国連とロシアの間での覚書は、食料安全保障の危機に接している何百万人の人々のライフラインです。

穀物価格指標は7月に125.9ポイントと、前月比で0.5%下落しましたが、メイズに関してはアルゼンチンやブラジルからの季節的なメイズ供給の増加、およびアメリカで期待以上の収穫が予測されていることを反映しました。一方で、小麦価格はウクライナからの輸出に関する不確実性と北米での干ばつ条件を受けて、9カ月ぶりに上昇、前月比で1.6%増でした。コメ価格はインドの輸出規制を受けて7月に2.8%上昇、昨年比では20%近く上昇しました。

砂糖価格はブラジルの収穫が進んでいること、またインド生産地での降雨、インドネシアや中国といった最大輸入国での需要の落ち込みを受け、前月比で4%近く下げたものの、1年前と比べて29.6%高い水準です。とりわけタイにおけるエルニーニョ現象のサトウキビ生産への影響や、高めの原油価格の動向が、世界砂糖価格の下落を抑える方向に働いています。

この7月、ロシアの黒海穀物イニシアチブ離脱、インドによる一部のコメの輸出規制など、世界食料市場における不確実性を高める出来事が重なりました。世界銀行によると、ロシアの穀物合意離脱を受け、小麦の先物価格は一時3%跳ね上がり、メイズや大豆先物価格も反応しました。その後、7月の穀物市場は比較的安定的に推移しましたが、食料安全保障への懸念要因は残ります。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

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