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730. 2023年2月 世界食料価格動向

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730. 2023年2月 世界食料価格動向 

国連食糧農業機関(FAO)は、3月3日、世界食料価格動向を公表しました。2023年2月の値は平均129.8ポイントで、前月からわずか0.6%ではありながらも11カ月連続の下落となり、2022年3月につけた最高値から29.9ポイント(18.7%)低い水準となりました。2月の下落は、植物油、乳製品、および部分的な穀物・肉類の価格下落が、砂糖価格指標の急上昇を相殺したことを反映しました。

穀物価格は2月に147.3ポイントの値をつけ、これは1月よりもごくわずか(0.1%)高く、昨年2月よりも2.0ポイント(1.4%)高い値です。国際小麦価格は前月比で僅か(0.3%)上昇、アメリカの生産地域における干ばつへの懸念とオーストラリア産小麦への強い需要に対し、輸出国間の激しい競争が価格上昇を抑える方向に動きました。メイズに関しては、アルゼンチンでの生産状況悪化とブラジルの播種の遅れがありましたが、アメリカ産メイズへの弱い需要で、国際価格は0.1%の上昇にとどまりました。国際コメ価格は、主要なアジア輸出国での取引が鈍化したことと対米ドルでの通貨価値の下落を受け、月ベースで1.0%下落しました。とりわけタイでは10カ月ぶりの高値をつけていたバーツが通貨安に動いたことを受け、タイ産コメ価格の反転に繋がりました。

植物油価格指標は2月に135.9ポイントと、前月比で4.5ポイント(3.2%)下落し、2021年初以来の低い水準となっています。この下落傾向は、パーム・ダイズ・ヒマワリ・なたね油に対する国際需要が冷え込んだことを反映しているようです。

これに対し、砂糖価格指標は1月から8.1ポイント(6.9%)上昇して124.9ポイントと、2017年2月以来の高値をつけました。2月の価格上昇は、世界需要に対し、インドにおける砂糖生産予測の下方見直しを反映しています。一方、タイでの収穫見込みとブラジルの生産地における十分な降雨についてのニュースによって、大幅な価格上昇にはつながりませんでした。石油の国際価格とブラジル産エタノール価格の下落も、世界砂糖価格上昇を抑える方向に動きました。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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