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595. 2022年7月 世界食料価格動向
595. 2022年7月 世界食料価格動向
国連食糧農業機関(FAO)は、8月6日、世界食料価格動向を公表しました。2022年7月の値は平均140.9ポイントで6月よりも8.6%低く、史上最高値を記録した3月から4か月連続で下落しましたが、1年前の水準からは16.4ポイント(13.1%)高水準にとどまりました。7月の食料価格指標下落は、とりわけ植物油と穀物価格指標の大幅な下落を反映したものです。
穀物価格は6月に比べ11.5%下落したものの、昨年7月に比べ16.6%高水準でした。世界小麦価格は7月に14.5%下落しましたが、国連の仲介によりウクライナの黒海からの穀物輸出を再開することが合意され、再開への期待が高まったことも反映しています。それでも、小麦価格は昨年7月よりも24.8%高い水準を維持しています。
植物油価格は、19.2%下落し、171.1ポイントと、ここ10カ月では最低値をつけました。この背景には、需要の落ち込みと主要国からの十分な輸出の見込みを反映したパーム油・ダイズ油・ヒマワリ油の国際価格の下落があります。原油価格の下落も植物油の下落に影響を及ぼしています。
2022年2月末のロシアによるウクライナ侵攻後、既にCOVID-19パンデミックや気候変動の影響や、燃料・肥料価格の高騰による市場の混乱も相まって、国際的に食料危機への懸念が高まっていました。これを受け、2022年7月15日 国連食糧農業機関(FAO)、国際通貨基金(IMF)、世界銀行グループ (WBG)、国連世界食糧計画(WFP)および世界貿易機関(WTO)は、世界の 食糧安全保障危機に対し緊急行動を求める共同声明を発表しています。共同声明は、持続可能な開発目標の達成へのさらなる後退を回避するべく、次の4つの 主要分野で短期的および長期的な行動を訴えました。
(i) 脆弱な人々への即時支援の提供
(ii) 食糧の貿易と国際供給の促進
(iii) 生産の促進
(iv) 気候変動への影響に強靭な農業への投資
世界食料栄養安全保障の維持のためには、引き続き国際社会の連携が必要になるでしょう。
(文責:情報広報室 金森紀仁、トモルソロンゴ、情報プログラム 飯山みゆき)