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692. 2022年12月 世界食料価格動向 

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692. 2022年12月 世界食料価格動向 

国連食糧農業機関(FAO)は、1月6日、世界食料価格動向を公表しました。2022年12月の値は平均132.4ポイントで、9カ月連続の下落となり、1年前の水準とくらべて1.3ポイント(1.0%)低い値をとりました。12月の下落は、植物油価格の大きな下落に加え、穀物・食肉価格の下落を反映しましたが、砂糖・乳製品価格の緩やかな上昇によって一部相殺されました。ただし2022年全体でみれば、食料価格指標は平均143.7ポイントで、2021年から18ポイント、14.3%高い水準を記録しました。

穀物価格は12月に147.3ポイントの値をつけ、これは11月よりも2.9ポイント(1.9%)低いものの、昨年12月よりも6.8ポイント(4.8%)高い値です。国際小麦価格は、南半球からの供給と輸出国間の競争を受けて下落しました。国際メイズ価格は、アルゼンチンでの干ばつへの懸念がありながらも、ブラジルからの競争によって下げました。対照的に、国際コメ価格は、アジアからの買い付けと幾つかの輸出国における対米ドルでの通貨高によって上昇しました。2022年を平均して、FAO穀物価格指標は154.7ポイントと、2021年から23.5ポイント(17.9%)高く、2011年の食料価格高騰時につけた記録を12.6ポイント(8.8%)上回りました。2022年の穀物価格指標の上昇には、市場の寸断、不確実性の増大、エネルギー・投入資材コスト上昇、主要供給国における悪天候、これらに対する堅調な世界食料需要、といった複合的な要因が関わっています。

植物油価格指標は12月に144.4ポイントと、11月から10.3ポイント(6.7%)下落し、2021年2月以来最低値をつけました。12月の下落はパーム油・ダイズ・なたね油・ヒマワリ油の国際価格の下落を反映しています。パーム油は主要輸出国における多雨のための供給源にもかかわらず、世界需要の落ち込みを受け、前月の回復傾向から5%下げました。大豆価格は南米での収穫見込みを受け、大きく下落しました。菜種油・ひまわり油も過剰供給に対する輸入需要の落ち込みで下落しました。原油価格の下落も下方圧力となりました。2022年平均では、植物油価格は前年よりも22.9ポイント(13.9%)高い187.8ポイントと、年間ベースでは最高記録を更新しました。

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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