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932. 2023年12月 世界食料価格動向

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932. 2023年12月 世界食料価格動向

 

国連食糧農業機関(FAO)は、1月5日、世界食料価格動向を公表しました。2023年12月の値は平均118.5ポイントで、乳製品・穀物価格上昇を打ち消す砂糖・植物油・食肉価格の下落を反映し、前月から1.8ポイント(1.5%)下げました。月別の価格指標は前年比で13.3ポイント(10.1%)低い値をとり、2023年全体の平均値は124.0ポイントと、2022年平均値より13.7%低くなりました。

穀物価格指標は12月に122.8ポイントと、前月比で1.5%上昇しましたが、前年比で16.6%低い水準でした。小麦輸出価格は、4か月下落ののち、12月は上昇しましたが、この背景には堅調な需要に対し、主要輸出港における天候問題と黒海の緊張に伴う供給側の制約がありました。世界メイズ価格もブラジルの第二期の植付に関する懸念やウクライナからの輸送に関するロジ問題を受け、上昇しました。コメ価格は、インドの輸出規制やベトナムからの供給不足に伴うインディカ米価格の上昇を反映し、11月から1.6%上昇しました。2023年の1年間で、コメ価格指標は、エルニーニョのインパクトへの懸念とインドによる輸出規制の影響で21%上昇しました。全体として、2023年の穀物平均価格指標は130.9ポイントと、前年比で15.4%低い値でした。

植物油価格指標は数か月下落傾向にあったものが11月に微増しましたが、12月は前月比で1.4%下落しました。要輸出国からの供給が季節的に少ないにもかかわらず、主要消費国の需要の落ち込んだことで、パーム・ダイズ・なたね・ヒマワリ油が下落したことが背景にあります。世界ダイズ油価格は、バイオディーゼル部門の需要低迷に対するブラジル生産地での天候改善を受けて11月から3%下げました。2023年の1年の植物油価格指標は126.3ポイントで、2022年から61.5ポイント・32.7%と大幅に下落しました。

12月の砂糖価格は、前月比で16.6%下げ、9か月間で最低値を記録しましたが、昨年同月比では14.9%高水準にとどまっています。12月の価格指標下落は、ブラジルの天候改善による生産好況とエタノール部門での低リターンに加え、インド政府が今期にサトウキビをエタノール生産に転換することを制限したことが背景にありました。2023年1年で、世界需給バランスの逼迫に関する懸念を受け、砂糖価格は145ポイントと、2022年から26.7%高く、2011年以来の高水準を維持しています。

 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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