Pick Up

652. 2022年10月 世界食料価格動向 

関連プログラム
情報

 


652. 2022年10月 世界食料価格動向

ロシアが国連の仲介の下で7月に合意された黒海からのウクライナ穀物輸出に関するイニシアチブについて、ロシアが10月末に参加を停止するとの決定を発表したあと、国際社会は食料危機の再来を警戒し、警鐘を鳴らしました。 その後、トルコの仲介もあり、イニチアチブに関係国が参加を続けることで合意し、国連は11月に期限切れとなるイニシアチブのフォローアップのための交渉を行っていると報告しています。国連とトルコが仲介した黒海イニシアチブにより、ウクライナ・ロシアからの輸出にとって国際穀物価格の安定化とインフレの抑制につながっています。しかし上述の状況は、状況がまだ流動的であることを示唆しています。

 

国連食糧農業機関(FAO)は、11月4日、世界食料価格動向を公表しました。2022年10月の値は平均135.9ポイントで、穀物価格を除き、多くの指標は月レベルでの下落を示し、全体的には前月から殆ど変動はありませんでした。食用油、乳製品、肉類、砂糖指標の下落を、穀物価格指標の上昇が相殺した形となりました。食料価格指標は3月のピークから23.8ポイント(14.9%)下落しましたが、1年前の水準からは2.7ポイント(2.0%)高水準にとどまりました。 

穀物価格は10月に152.3ポイントの値をつけ、これは9月よりも4.4ポイント(3.0%)高く、昨年10月よりも15.2ポイント(11.1%)高くなっています。主要な穀物の全ての国際参考指標価格が月ベースで上昇しました。国際小麦価格は、黒海イニシアチブをとりまく不確実性を反映し、10月に3.2%上昇しました。国際メイズ価格に関しても、アメリカ・EUにおける供給下落の見込みに加え、アルゼンチンにおける植付期の乾燥状況、またウクライナ輸出に関する不確実性の継続が合わさり、4.3%上昇しました。国際コメ価格は、アジアにおける大量供給がこれからというところ、需要の低迷を反映し、1.0%の上昇にとどまりました。

植物油価格は、1.6%下落し、150.1ポイントと、2021年初頭の高水準から20%低い水準をつけました。この背景には、反映したパーム油・ヒマワリ油等の国際価格の下落がパーム油・ダイズ油・なたね油価格の下落をもたらし、ウクライナ輸出を巡る地政学的不確実性によるヒマワリ油の価格上昇を相殺したことを反映しています。

 

FAOはまた、11月2日にThe State of Food and Agriculture (SOFA) 2022「世界食料農業白書2022:オートメーションを活用し農業システムを変革する」を発出しました。以下、FAO駐日連絡事務所からの情報を共有させていただきます。
 


The State of Food and Agriculture 2022
-Leveraging Automation in Agriculture for Transforming Agrifood Systems-
 
英文プレスリリース
https://www.fao.org/newsroom/detail/FAO-state-of-food-and-agriculture--…
和訳プレスリリース
https://www.fao.org/japan/news/detail/jp/c/1613571/
 
冊子電子データ
https://www.fao.org/3/cb9479en/online/cb9479en.html
冊子PDFデータ
https://www.fao.org/3/cb9479en/cb9479en.pdf
要約版PDF
https://www.fao.org/3/cc2459en/cc2459en.pdf


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

関連するページ