Pick Up

571. 異常気象と気候変動の因果関係

関連プログラム
情報

 

571. 異常気象と気候変動の因果関係

6月下旬の日本では記録的に早い梅雨明けとなり、暑い日が続き40度を超える地点もありました。7月1日、気象庁は2022年6月の天候の特徴について、東・西日本の気温はかなり高く下旬は記録的な高温となった、西日本太平洋側の降水量はかなり少なく東日本日本海側と西日本太平洋側の日照時間はかなり多くなった、北日本日本海側と北日本太平洋側の降水量はかなり多く沖縄・奄美の降水量は多くなった、とまとめました。とくに東・西日本の各地と東北南部では記録的に早く梅雨明けしたとの速報見込みを発表しています。

今年に入り、世界各地で熱波が報告されています。とくに、3月以降、インド・パキスタンおよび南アジアの大部分の地域を覆った記録的な熱波は、90人の犠牲と作物収量の10-35%減少をもたらすと推計されています。極端現象と気候変動の因果関係を分析するWorld Weather Attributionによると、 観測値の少なさの限界を指摘しつつも、人為的に引き起こされた気候変動により、今回のインド・パキスタンの熱波の起こる確率が30倍高まったと類推しました。この結果、5月中旬、ロシアによるウクライナ侵攻で小麦の安定供給寸断による世界食料危機が高まる中、熱波による収量減少見込みの中、インド政府をして国内小麦供給確保のために輸出規制を発出したと報告されています。 地球温暖化がすすめば、将来、今回のような規模の熱波の頻度と激しさがますます増すであろうことを指摘しています。

熱波のみならず大雨・干ばつ・森林火災・サイクローンなどの異常気象について、World Weather Attributionに代表されるように、気候変動との因果関係を迅速に推計する手法が改善しているそうです。  最近Environmental Research Climate誌に発表されたレビュー論文によると、 熱波については世界的に見て気候変動との関係は明らかな傾向がありながらも、その被害のインパクトが保険会社や経済学者・政府から過小評価されている傾向にあるとしました。他方、熱帯サイクローンや干ばつについては、熱波に比べ、気候変動の影響には地域差が大きく、気候変動以外の要因も関わっている可能性を指摘しました。著者らは、気候変動を緩和し備えるためのアトリビューション研究を強化する上で、異常気象の影響をとりわけ強く受けつつも気候変動・異常気象とそのインパクトに関するデータ収集体制が整備されていない低・中所得国の支援を強く訴えました。


(参考文献)
Ben Clarke et al, Extreme weather impacts of climate change: an attribution perspective, Environmental Research: Climate (2022). DOI: 10.1088/2752-5295/ac6e7d

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)