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576. 2022年6月 世界食料価格動向-3カ月連続で下落するものの昨年に比べ2割高

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576. 2022年6月 世界食料価格動向-3カ月連続で下落するものの昨年に比べ2割高

国連食糧農業機関(FAO)は、7月8日、世界食料価格動向を公表、2022年6月の値は平均154.23ポイントで5月より2.3%低く、史上最高値を記録した3月から3か月連続で下落しましたが、1年前の水準からは29.0ポイント(21.1%)高水準にとどまったと報告しました。6月の下落は植物油・穀物・砂糖の国際価格下落を反映した一方、乳製品と肉類の価格は上昇しました。

FAO穀物価格指標は5月から7.2ポイント(4.1%)上げて166.3ポイントの値を付けましたが、2021年6月の値よりも36.0ポイント(27.6%)高水準でした。国際小麦価格は5月に史上最高値に近い値をつけたあと、6月に5.7%下がりましたが、それでも前年に比べて48.5%高水準となっています。6月の価格下落は、北半球での収穫を受け季節的供給が増えたこと、またカナダをはじめとした主要生産国での栽培環境が改善したこと、ロシアで高い収穫が見込まれること、そして世界輸入需要が減速したこと、を反映しました。粗粒穀物価格も6月に4.1%下げながら前年よりも18.4%高水準でした。収穫が進んでいるアルゼンチンやブラジルからの季節的な供給増やアメリカでの生産環境向上が価格下落圧力となり、6月にメイズ価格は3.5%下落しました。経済不況の兆候による需要動向への懸念も価格下落傾向に拍車をかけました。インディカ米・バスマティ米への旺盛な需要に対する限定的な供給によって、6月にコメ価格は上昇しました。

植物油価格指標は、パーム油・ヒマワリ油・ダイズ油・なたね油の価格が下がったことを受け、前月より17.4ポイント(7.6%)下げて211.8ポイントをつけました。パーム油価格は主要生産国からの供給増加と国内在庫を抱えるインドネシアからの輸出増加見込みで3か月連続下落しました。一方、ヒマワリ油・ダイズ油価格も、ここ数カ月の価格急騰に応じた世界的な需要低迷を受け下落しました。なたね油価格については、新たな収穫が供給に加わることで国際価格への圧力も弱まっています。

FAOの乳製品価格指標は6月に5.9ポイント(4.1%)上昇、前年6月の29.9ポイント(24.9%)高水準をつけました。価格上昇の背景として、ヨーロッパにおける初夏の熱波による供給下落などの懸念がありました。肉価格指標は124.7ポイントと5月から2.1ポイント(1.7%)上昇し、昨年6月よりも14ポイント(12.7%)高い値をとりました。とくに鶏肉価格はウクライナの影響による世界的な供給条件や北半球での鳥インフルエンザを受け、史上最高値をつけました。


ロシアのウクライナ侵攻は世界の食料安全保障を揺るがしていますが、世界食料危機を回避するために、FAOなどの国際機関や日本政府も含む国際社会がウクライナの穀物の輸出促進に向けて活動しています。 

(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

 

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