現地の動き - Pick Up

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    842. 持続性に資する自然の多様な価値

    世界中の人々が経済的な効用にとどまらない様々な視点で自然に価値を見出しています。一方、人々が自然を評価する視座の多様性は、重要な政治的・経済的意思決定において反映されているとは言えません。Nature誌に掲載された論文は、自然が過小に評価されていることが今日の環境危機の原因であると指摘しました。
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    841. 食卓のアレを使って土壌分析!?

    土壌にはリン酸と結合する性質(リン吸着能)があります。畑の土壌のリン吸着能が強いと、せっかく撒いたリン肥料が、作物に吸収される前に土壌と結合してしまうため、施肥効率が悪くなります。そのため、リン吸着能は施肥基準としても利用されます。最近の研究によって、リン吸着能が土壌水分含量と密接に関係していることがわかりました。国際農研とマダガスカル アンタナナリボ大学の研究チームは、この関係を利用して、食塩(塩化ナトリウム)を使ったある工夫を加えることで、土壌水分含量からリン吸着能を精度よく、しかも簡単に推定する手法を開発しました。
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    840. フードシステムと地球の目標:切り離せない2つの政策課題

    栄養のための農業とフードシステムに関するグローバルパネル(The Global Panel on Agriculture and Food Systems for Nutrition)は先月、ポリシーブリーフ「フードシステムと地球の目標:切り離せない2つの政策課題」を発表しました。
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    839. 温暖化のもとでの異常気象リスク

    この夏休み中も、世界の各地から極端な山火事や台風に伴う洪水の被害が報道されていました。温暖化が進行するにつれ、このような極端現象が人々の生活に影響を与える確率は高まることが予測されており、一方で備えのための精密な情報、他方で全ての関係者による温室効果ガス排出削減へのコミットメントが緊急に必要とされています。
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    838. 世界気温に関する複数の指標が最高値を更新

    8月8日、EUの気象観測機関であるコペルニクス気候変動サービスは、2023年7月は1940年来の観測史上、世界気温に関する複数の指標が最高値を更新したと発表しました。この暑さの背景には、この時期としては異常に高い海面水温が続いていることがあります。
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    837. グローバル・ランド・スクイーズ

    2050年までに世界人口が100億人近くに達すると予測される中、人類の食料・木材・都市化の需要は高まり、土地利用において気候変動および生物多様性保全目標との競合が加速しています。最近公表された世界資源研究所の報告書は、この状況を「グローバル・ランド・スクイーズ」という言葉で表現、有限な土地資源の持続的管理を目的として、生産・保全・削減・回復(produce, protect, reduce, restore)アプローチを提案しました。
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    836. 気候変動への適応能力

    気候変動への適応は、財政的な資源にとどまらず、社会基盤・情報および行政能力といった資源を必要とします。8月4日、Nature Climate Change誌の論説は、気候変動のインパクトは世界で一律でないのと同様に、社会の適応能力にも大きなばらつきがあるとし、弱者に対する適応支援強化を訴えました。
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    835. 2023年7月 世界食料価格動向

    国連食糧農業機関(FAO)は、8月4日、世界食料価格動向を公表しました。2023年7月の値は平均123.9ポイントで、前月から1.5ポイント(1.3%)上昇しましたが、前年同月につけた値より16.6ポイント(11.8%)低い水準です。この7月、ロシアの黒海穀物イニシアチブ離脱、インドによる一部のコメの輸出規制など、世界食料市場における不確実性を高める出来事が重なり、食料安全保障への懸念要因は残ります。
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    834. 2023年7月熱波に対する気候変動の痕跡

    2023年7月は、歴史的に最も暑い月となりました。8月2日、気候変動科学に関する情報提供を行う非営利団体のClimate Centralは、気候シフト・インデックス(Climate Shift Index)という指標を用い、7月に観察された熱波における人為的な気候変動の痕跡は明らかで、世界人口の81%に相当する65億人の人々が影響を受けたと発表しました。
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    833. 人新世の定義に向けて

    人新世とは、人類が地球の地質や生態系に重大な影響を与える発端を起点として提案された想定上の地質時代を指します。研究者の間でも人新世の定義は固まっていなかったところ、7月中旬、人新世を代表する『国際標準模式層断面及び地点』(GSSP)の候補地として、カナダ・オンタリオ州のクロフォード湖の湖底にある堆積層が選定されたと発表されました。
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    832. 鉄過剰ストレスにより発生するイネの葉の可視障害の軽減にマグネシウムの施肥が有効であることを発見

    アジアやアフリカの多くの水田地域で発生する鉄過剰ストレスは、イネの生育や収量に悪影響を及ぼすことが古くから認識されています。しかし、その耐性の鍵となる要因の多くは明らかとなっていません。鉄過剰ストレスが引き起こす応答のひとつに、葉の褐変症状(ブロンジング)があります。国際農研は、マダガスカルの鉄過剰ストレス圃場における圃場試験と国内における温室実験から、植物の必須元素のひとつであるマグネシウムの施肥が、ブロンジングを軽減させるのに有効であることを明らかにするとともに、そのメカニズムを示唆しました。ミネラル間のバランスが鉄過剰ストレス耐性に重要であり、イネの鉄過剰ストレス耐性育種を進めるうえで重要なヒントになると期待されます。
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    831. 持続的な食料システム構築に向けたアクション

    先週ローマで開催された「国連食料システムサミット2年後会合(UNFSS+2)」に合わせ、グテーレス国連事務総長は、持続的な食料システム構築のために、①飢餓撲滅に向けた投資増強、②企業・政府間の協調推進、③食料生産による環境・気候への負の影響緩和、の3つの分野でのアクションを提案しました。
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    830. 世界食料市場をとりまく不確実性

    この7月、ロシアが黒海穀物イニシアチブを離脱したことで、ロシア・ウクライナからの食料供給寸断について不確実性が高まっています。両国は小麦・メイズ・ヒマワリ油といった穀物の主要生産・輸出国であり、こうした世界食料価格の動向が気になるところです。ここのところ、もう一つの主要主食作物であるコメについても、世界第一の輸出国であるインドが輸出規制を課したと伝えられています。地政学的要因や主要輸出国の動向、異常気象の影響、そしてそれらに対する輸出国・輸入国の反応が、世界食料価格および世界食料安全保障に大きな影響を及ぼします。
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    829. 2023年7月世界の気象と2022年アジアの気候

    7月27日、国連は2023年7月は史上最高に暑い月の記録を更新しそうだと発表、地球温暖化の時代はおわり、地球沸騰化の到来の兆候であると表現しました。また同日、世界気象機関が発表したアジア気候白書(State of the Climate in Asia 2022)は、近年、極端現象や気候変動のインパクトは増していることに言及、今後も農業がとくに大きな影響を受けるとし、強靭な食料システム構築のための気候変動適応の緊急性を説きました。
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    828. ツマジロクサヨトウに対する殺虫剤感受性簡易検定法の開発

    トウモロコシなどを加害する世界的な越境性害虫であるツマジロクサヨトウは、高い移動能力を持つため、その管理には近隣諸国による国際協力が不可欠です。タイ農業局植物保護研究開発部と国際農研は、ツマジロクサヨトウの殺虫剤感受性の変化を東南アジア等の各国で評価し情報共有するための簡易検定法とタイにおける検定結果に関する論文を公表しました。
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    827. 2023年7月-気候変動がなければ起こりえない強度での熱波発生

    この7月、世界各地で過去最高気温が更新されており、7月16日、アメリカはデスバレー、中国は北西部で、気温は50℃を超えました。7月25日、極端現象と気候変動の因果関係を分析するWorld Weather Attributionは、気候変動のもとで、2023年7月に北米・南欧・中国で観察されているような極端な熱波が起こりやすくなっていることを報告しました。
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    826. 気候変動と気候正義

    気候変動の影響は、温室効果ガス排出源となっている国や地域にとどまらず、これまで殆ど排出をしてこなかった後発開発国・地域、いわゆるグローバルサウス、も負の影響を大きく被ります。最近公表された論文は、今日経済的に繁栄している国々の私的な富は、世界の包括的な富を借り入れる(Climate Wealth Borrowing)結果成立してきたと主張、温室効果ガス排出の責任の所在を歴史的に遡って評価する必要性を訴えました。別の論文は、気候変動の責任論は、規範的・倫理的な概念から、具体的なコンテクストにおける実践に比重を置くべきであると提案しています。
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    825. 国連食料システムサミット第一回ストックテーキングモーメント・サイドイベント

    2021年9月、国連食料システムサミットが開催されました。その後2年に1度、ストックテーキングのための会合が開催されることとなり、その第1回となる「国連食料システムサミット2年後会合(UNFSS+2)」が、イタリア・ローマの国連食糧農業機関(FAO)本部にて本日7月24日から3日間開催されます。日本の農林水産省および国際農研は、7月24日、UNFSS+2の公式サイドイベントを開催します。
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    824. 食料生産とエコシステム

    ロシアのウクライナ侵攻といった地政学要因や、連日の熱波が示す異常気象が、食料安全保障に不確実性をもたらしています。こんなときだからこそ、食料生産基盤の強化につながるエコシステム回復の必要性について検討する必要があります。
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    823. 2023年世界多次元貧困指数(MPI)報告書

    国連開発計画(UNDP)とオックスフォード貧困・人間開発イニシアチブ(OPHI)は2023年世界多次元貧困指数(global multidimensional poverty index: MPI)報告書を公表しました。