現地の動き - Pick Up

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    847. 気候変動と子どもの権利

    気候変動は、温室効果ガス排出に関わっていない脆弱な社会層や、適応能力が十分でない世代に不均衡なインパクトを及ぼすことが問題です。8月28日、国連は、加盟国に対し、気候変動・生物多様性の喪失・蔓延する環境汚染に緊急に立ち向かうことで、子どもが「清潔で健全かつ持続可能な環境への権利」を享受することを保障する必要性を訴えました。
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    846. 「新しいあたりまえ」

    8月も残り僅かですが、世界中で異常気象の報告が続き、スイスでは氷点下となる標高が記録を更新、カナダでは史上最悪の山火事が観測されています。世界気象機関(WMO)は異常気象が「新しいあたりまえNew Norm」になったと述べ、極端現象と気候変動の因果関係を分析するWorld Weather Attributionは、気候変動によってカナダ東部の山火事が起こる確率が2倍増加していると発表しました。
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    845. サバクトビバッタが脱皮中の共食いを避ける行動を解明 -農薬使用量の削減に繋がる防除方法確立のために

    サバクトビバッタは、アフリカからアジアにおいて深刻な農業被害をもたらす重要な害虫です。野外における生態に不明な点が多いため、大発生し問題が顕在化した後に環境負荷が大きい非効率な防除を行わざるを得ない状況になっています。そこで国際農研では、バッタの被害の軽減を図るため、その生態に基づいた効率的な防除技術の開発を進めています。今回は、上記の研究のうち、農薬使用量の削減に繋がる防除方法を確立するために必要不可欠なバッタの幼虫の集団行動、特に脱皮中の共食いを避ける行動に関する国際農研の研究成果について紹介します。
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    844. セミナー『雑穀 - 栄養・農業・気候の課題に対応する潜在能力』

    2023年国際雑穀年を機に、国際農研は雑穀に関するセミナーを企画、9月26日に東京の会場とオンラインのハイブリッドの形式で開催いたします。本セミナーでは海外および日本で雑穀研究に携わる科学者が、世界的な気候変動や栄養問題に対する雑穀研究の可能性について議論する場を提供し、雑穀の気候耐性と栄養面での利点に対する認識を高めます。ぜひご参加をご検討ください。
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    843. 飼料木のサイレージ発酵を促進する調製法とメカニズムを解明

    国際農研は、世界的には飼料木としても利用されるクワ枝葉を用いたサイレージの調製を行い、その発酵品質を向上させるために添加した乳酸菌製剤、セルラーゼ、及びそれらの相乗効果を示しました。また最新のDNAシーケンス技術を用いて、サイレージ発酵における細菌叢のダイナミックな変動と細菌種相互の相関関係を明らかにしました。乳酸菌製剤とセルラーゼは、嫌気性発酵においてグラム陰性菌からグラム陽性菌への優占菌の変化を促進し、乳酸菌を中心とした細菌の微生物ネットワークを形成しました。これらの成果・知見は、今後、半乾燥地で乾季に不足する家畜栄養の改善、家畜生産性や農家所得の向上のため、現地で利用できる飼料木を用いたサイレージ調製法として応用することが期待されます。
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    842. 持続性に資する自然の多様な価値

    世界中の人々が経済的な効用にとどまらない様々な視点で自然に価値を見出しています。一方、人々が自然を評価する視座の多様性は、重要な政治的・経済的意思決定において反映されているとは言えません。Nature誌に掲載された論文は、自然が過小に評価されていることが今日の環境危機の原因であると指摘しました。
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    841. 食卓のアレを使って土壌分析!?

    土壌にはリン酸と結合する性質(リン吸着能)があります。畑の土壌のリン吸着能が強いと、せっかく撒いたリン肥料が、作物に吸収される前に土壌と結合してしまうため、施肥効率が悪くなります。そのため、リン吸着能は施肥基準としても利用されます。最近の研究によって、リン吸着能が土壌水分含量と密接に関係していることがわかりました。国際農研とマダガスカル アンタナナリボ大学の研究チームは、この関係を利用して、食塩(塩化ナトリウム)を使ったある工夫を加えることで、土壌水分含量からリン吸着能を精度よく、しかも簡単に推定する手法を開発しました。
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    840. フードシステムと地球の目標:切り離せない2つの政策課題

    栄養のための農業とフードシステムに関するグローバルパネル(The Global Panel on Agriculture and Food Systems for Nutrition)は先月、ポリシーブリーフ「フードシステムと地球の目標:切り離せない2つの政策課題」を発表しました。
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    839. 温暖化のもとでの異常気象リスク

    この夏休み中も、世界の各地から極端な山火事や台風に伴う洪水の被害が報道されていました。温暖化が進行するにつれ、このような極端現象が人々の生活に影響を与える確率は高まることが予測されており、一方で備えのための精密な情報、他方で全ての関係者による温室効果ガス排出削減へのコミットメントが緊急に必要とされています。
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    838. 世界気温に関する複数の指標が最高値を更新

    8月8日、EUの気象観測機関であるコペルニクス気候変動サービスは、2023年7月は1940年来の観測史上、世界気温に関する複数の指標が最高値を更新したと発表しました。この暑さの背景には、この時期としては異常に高い海面水温が続いていることがあります。
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    837. グローバル・ランド・スクイーズ

    2050年までに世界人口が100億人近くに達すると予測される中、人類の食料・木材・都市化の需要は高まり、土地利用において気候変動および生物多様性保全目標との競合が加速しています。最近公表された世界資源研究所の報告書は、この状況を「グローバル・ランド・スクイーズ」という言葉で表現、有限な土地資源の持続的管理を目的として、生産・保全・削減・回復(produce, protect, reduce, restore)アプローチを提案しました。
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    836. 気候変動への適応能力

    気候変動への適応は、財政的な資源にとどまらず、社会基盤・情報および行政能力といった資源を必要とします。8月4日、Nature Climate Change誌の論説は、気候変動のインパクトは世界で一律でないのと同様に、社会の適応能力にも大きなばらつきがあるとし、弱者に対する適応支援強化を訴えました。
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    835. 2023年7月 世界食料価格動向

    国連食糧農業機関(FAO)は、8月4日、世界食料価格動向を公表しました。2023年7月の値は平均123.9ポイントで、前月から1.5ポイント(1.3%)上昇しましたが、前年同月につけた値より16.6ポイント(11.8%)低い水準です。この7月、ロシアの黒海穀物イニシアチブ離脱、インドによる一部のコメの輸出規制など、世界食料市場における不確実性を高める出来事が重なり、食料安全保障への懸念要因は残ります。
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    834. 2023年7月熱波に対する気候変動の痕跡

    2023年7月は、歴史的に最も暑い月となりました。8月2日、気候変動科学に関する情報提供を行う非営利団体のClimate Centralは、気候シフト・インデックス(Climate Shift Index)という指標を用い、7月に観察された熱波における人為的な気候変動の痕跡は明らかで、世界人口の81%に相当する65億人の人々が影響を受けたと発表しました。
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    833. 人新世の定義に向けて

    人新世とは、人類が地球の地質や生態系に重大な影響を与える発端を起点として提案された想定上の地質時代を指します。研究者の間でも人新世の定義は固まっていなかったところ、7月中旬、人新世を代表する『国際標準模式層断面及び地点』(GSSP)の候補地として、カナダ・オンタリオ州のクロフォード湖の湖底にある堆積層が選定されたと発表されました。
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    832. 鉄過剰ストレスにより発生するイネの葉の可視障害の軽減にマグネシウムの施肥が有効であることを発見

    アジアやアフリカの多くの水田地域で発生する鉄過剰ストレスは、イネの生育や収量に悪影響を及ぼすことが古くから認識されています。しかし、その耐性の鍵となる要因の多くは明らかとなっていません。鉄過剰ストレスが引き起こす応答のひとつに、葉の褐変症状(ブロンジング)があります。国際農研は、マダガスカルの鉄過剰ストレス圃場における圃場試験と国内における温室実験から、植物の必須元素のひとつであるマグネシウムの施肥が、ブロンジングを軽減させるのに有効であることを明らかにするとともに、そのメカニズムを示唆しました。ミネラル間のバランスが鉄過剰ストレス耐性に重要であり、イネの鉄過剰ストレス耐性育種を進めるうえで重要なヒントになると期待されます。
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    831. 持続的な食料システム構築に向けたアクション

    先週ローマで開催された「国連食料システムサミット2年後会合(UNFSS+2)」に合わせ、グテーレス国連事務総長は、持続的な食料システム構築のために、①飢餓撲滅に向けた投資増強、②企業・政府間の協調推進、③食料生産による環境・気候への負の影響緩和、の3つの分野でのアクションを提案しました。
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    830. 世界食料市場をとりまく不確実性

    この7月、ロシアが黒海穀物イニシアチブを離脱したことで、ロシア・ウクライナからの食料供給寸断について不確実性が高まっています。両国は小麦・メイズ・ヒマワリ油といった穀物の主要生産・輸出国であり、こうした世界食料価格の動向が気になるところです。ここのところ、もう一つの主要主食作物であるコメについても、世界第一の輸出国であるインドが輸出規制を課したと伝えられています。地政学的要因や主要輸出国の動向、異常気象の影響、そしてそれらに対する輸出国・輸入国の反応が、世界食料価格および世界食料安全保障に大きな影響を及ぼします。
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    829. 2023年7月世界の気象と2022年アジアの気候

    7月27日、国連は2023年7月は史上最高に暑い月の記録を更新しそうだと発表、地球温暖化の時代はおわり、地球沸騰化の到来の兆候であると表現しました。また同日、世界気象機関が発表したアジア気候白書(State of the Climate in Asia 2022)は、近年、極端現象や気候変動のインパクトは増していることに言及、今後も農業がとくに大きな影響を受けるとし、強靭な食料システム構築のための気候変動適応の緊急性を説きました。
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    828. ツマジロクサヨトウに対する殺虫剤感受性簡易検定法の開発

    トウモロコシなどを加害する世界的な越境性害虫であるツマジロクサヨトウは、高い移動能力を持つため、その管理には近隣諸国による国際協力が不可欠です。タイ農業局植物保護研究開発部と国際農研は、ツマジロクサヨトウの殺虫剤感受性の変化を東南アジア等の各国で評価し情報共有するための簡易検定法とタイにおける検定結果に関する論文を公表しました。