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1290. 2025年6月北半球における熱波の報告

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1290. 2025年6月熱波の報告

 

気象庁によると、今年6月は、日本付近への太平洋高気圧の張り出しが強く、日本の月平均気温の基準値からの偏差は+2.34℃で、これまでの6月の記録であった2020年の+1.43℃を上回り、統計を開始した1898年以降、最も高くなりました。また、日本近海の6月の平均海面水温の平年差は+1.2℃(速報値)となり、統計を開始した1982年以降で、2024年と並んで6月として1位タイの記録となりました。

欧州や北米でも、この6月は猛烈な熱波に見舞われました。欧州宇宙機関(The European Space Agency)によると、南ヨーロッパと北アフリカの広い地域を猛烈な熱波が襲い、気温が季節平均を超え、広範囲で健康警報や山火事警報が発令されました。特に被害が大きいのが、スペイン、フランス、イタリア、ギリシャ、キプロス、アルジェリアです。現在の熱波は、西ヨーロッパ上空に停滞している高気圧、通称「ヒートドーム」によって引き起こされています。この高気圧は蓋のような役割を果たし、高温で乾燥した空気を閉じ込め、時間の経過とともに気温を上昇させます。東へ移動するにつれて、北アフリカからの熱気も引き寄せ、地域全体の猛暑をさらに悪化させています。

世界気象機関によると、西ヨーロッパと南西ヨーロッパでは、最低気温(夜間の気温を表す)と最高気温(通常は午後に発生する)の両方が、一部の地域で6月の月間観測記録を更新しました。スペイン南部で気温46.0℃を記録し、広範囲で気温が40℃を超えました。このような猛暑は、規模の大きさだけでなく、時期的にも例外的です。なぜなら、このような猛暑は通常、真夏に発生するからです。地中海の海面水温(SST)も、この時期としては異例に高く、陸地の猛暑を悪化させる傾向があります。対照的に、冬の南半球では、6月、南米は特にアルゼンチン、チリ、パラグアイで異例の記録破りの寒波に見舞われました。


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)

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