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1289. 地球のエネルギー収支の不均衡

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1289. 地球のエネルギー収支の不均衡

 

地球温暖化は、人為的な温室効果ガス排出によって、入射する太陽光と地球から反射・放出される放射線との間の微妙なバランスが崩れることによって引き起こされます。この不均衡は、大気、海洋、陸地へのエネルギー蓄積、そして氷圏の融解につながり、気温上昇、海面上昇、そして地球規模の異常気象の増加をもたらしています。

AGU Advancesで公表された論文によると、地球のエネルギー収支の不均衡は、予想よりもはるかに速いペースで増加しており、わずか20年で2倍近くに達しました。この観測値は気候モデルの予測値の2倍に相当するそうです。研究者によると、モデルと観測値の乖離の根本原因は現時点では十分に解明されていませんが、地球の太陽光反射率の低下や、海面水温パターンのモデル化が不十分であること、汚染性エアロゾル粒子の表現と放出、あるいはその他の要因が原因である可能性が示唆されています。

化石燃料の燃焼を迅速に段階的に廃止することで、地球のエネルギー不均衡を減少させ、地球温暖化を 2° 未満に安定させることは依然として可能です。研究者らは、地球のエネルギー蓄積の変化を綿密に監視し、定量的に理解することは、特に今後数十年間、世界各国が地球温暖化を 2° よりはるかに低く抑える措置を講じる中で、極めて重要となると論じています。 

 

(参考文献)
Thorsten Mauritsen et al. (2025) Earth's Energy Imbalance More Than Doubled in Recent Decades. AGU Advances. https://doi.org/10.1029/2024AV001636


(文責:情報プログラム 飯山みゆき)
 

 

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